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民医連新聞

民医連新聞

副作用モニター情報(181)

副作用モニター情報(181)

ヘパリンによる血小板減少

(2001年上期血液障害のまとめより)

 63歳女性の肺塞栓症の治療にヘパリン2万単位が使用され、5日後に血小板が9.5 万/μリットル、7日後には5.8万/μリットルまで減少しました。中止により9日後には7.9万/μリットル、13日後には31万/μリットルまで改善 し、17日後からはワーファリンに変更された症例が報告されました。
 ヘパリンの副作用としてヘパリン起因性血小板減少症(HIT)がよく知られています。症例には、数日で発症し一過性で軽度の血小板減少(約10万)が見 られるものと、やや遅く発症し(4~14日)血小板減少が高度(10万以下、通常4~6万)になるものがあります。後者はまれに動静脈血栓症を合併するこ とがあるため、特に注意が必要な副作用です。
 発症機序は、前者がヘパリンの直接作用により血小板凝集が起こり血小板減少となるのに対し、後者の場合は免疫学的機序によると言われていますが、血栓症 合併の詳しい機序は不明です。この症例では一過性で回復しており、ヘパリンの直接作用と考えられました。
 低分子ヘパリンのほうが抗原となりにくいため、出血や血小板減少などの副作用が少ないと言われていますが、海外では血栓症合併の重篤症例も報告されてい ます。また、通常のヘパリンによる血小板減少とも交差反応性を示す場合があるので、注意が必要です。
 治療は早い時期にヘパリンを中止することにより、通常、2~5日で回復します。免疫的機序による血小板減少は投与量には関係せず、一度感作されていると 2~3日と早い時期に発生するため、特にヘパリン投与開始から2週間は、頻回に血液検査することが極めて重要です。

(民医連新聞2002年04月21日/1274号)