宮古島産廃処分場火災沖縄民医連が現地調査
4ヶ月続く異臭・煙 せき・発疹、住民ら訴え
【沖縄発】宮古島平良市大浦地区の産業廃棄物最終処分場(1万3000平方メートル)では、昨年11月末に火災 が発生し、4カ月たった現在もくすぶり続けています。大浦地区は70世帯160人の集落(うち75歳以上の高齢者が約90人)。現在も悪臭は続いていま す。集落と発生現場の処分場とは約1・5キロの距離。住民からは健康被害への強い不安や、自治体の対応の遅れへの不満が出されています。
沖縄民医連は27日、県連会長の西銘圭蔵医師、新垣潔事務局長、嶺間やよ看護委員長ら3人が現地調査に向かいました。
また、同処分場では火災発生前の調査ですでに、環境基準の2倍のダイオキシンが測定されていた(沖縄県・文化環境部)ことが判明。県はそのことを知りつ つ「健康上、問題はない」と、ダイオキシンの測定調査や住民の健康調査に着手していませんでした。
◆ ◆
(嶺間看護委員長のレポート)地区区長の下地博和さん・地元市議から状況をききました。
11月28日の火災発生時は、1メートル先も見えないほどの煙と悪臭がたちこめました。その後も鎮火せず、毎日悪臭がある。老人が多い地域のため、とく に健康問題の対応が急がれています。行政の対応は委員会設置のみ。住民の健康調査などは行われていません。
区長さんの話では、火災後、全身のかゆみや発疹、頭痛、咳に悩まされている人が多い、喘息やアレルギーがひどくなった子どもがいる。悪臭の中にいると目 が痛くなり、口の中がねばねばしてくる、気分が悪くなる、などの症状が出るそうです。
発疹のひどい人の訪問診察もしました。医師がこの地区に入るのは初めてで、住民の期待を感じました。
午後に県の環境調査の報告がありましたが、いちばん住民が心配しているダイオキシンの検査はされていませんでした。四カ月たっても住民の健康調査も実施 されていません。西銘医師が健診の必要性を強く訴えましたが、保健所は「検討する」と述べるにとどまりました。住民の行政に対する怒りは当然です。
◆ ◆
なお、平良市は県に対し、「住民の健康問題を最優先にする姿勢」を求めています。また市長の諮問を受けた調査委 員会の関口鉄夫委員長(信州大学講師)も県の姿勢を問うています。同委員会は住民の健康調査に沖縄民医連に協力を求める意向。同県連では、条件が整い次 第、健診を具体化したいとしています。
(民医連新聞2002年04月11日 1273号)