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声明・見解

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【声明2024.12.25】高額療養費の上限引き上げは中止し、すべての世代の医療費負担を軽減して 安心の医療を提供するよう求める

2024年12月25日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田剛

 厚生労働省は、医療費増に対する見直しと少子化対策の財源確保が必要だとして、2025年8月から「高額療養費」の上限額を引き上げる見直し案をとりまとめた。全日本民医連は見直し案に反対する。

 具体的には、2025年8月から所得区分ごとに2.7~15%引き上げ、平均的な年収区分である年収およそ370万円から770万円では、今より8100円引き上げて8万8200円程度になる。さらに年収の区分を細分化したうえで、26年8月と27年8月に2段階に分けて上限額を引き上げる方向で、例えば年収およそ650万円から770万円では、最終的に13万8600円程度への引き上げとなる。同時に年収370万円までの70歳以上の高齢者の外来特例についても、月額上限を見直し、年間上限についても引き上げるとしている。12月25日にも正式な方針を確定するとしている。

 厚生労働省は引き上げ理由について、9年前に実施した高額療養費制度の見直し以降、賃上げも実現し世帯収入も増えているからと説明している。しかし物価高騰が続き、暮らしの困難は増しているのが実情であり、上限額を引き上げて患者負担を増やすと、国民の不安を招き受診抑制につながることが危惧される。

 社会保障審議会医療保険部会の議論では、「現役世代の負担軽減が喫緊の課題であると考えれば、高額療養費の見直しは不可欠」「現役世代が保険料負担の軽減を実感できるよう、相当程度高い水準で自己負担限度額を引き上げていくことが重要」との意見が出された。現役世代の保険料負担軽減のためといいながら患者負担を増やしては、子育て世代・現役世代の不安増大にもつながりかねない。

 今後の高齢化や医療の進歩も見通して行うべき必要な対策は、医療費への国庫負担率を引き上げることであり、その財源は、大軍拡予算と大企業優遇の税制見直しを行ってまかなうべきである。

 全日本民医連は、高額療養費の上限引き上げは中止し、すべての世代の医療費負担を軽減して安心の医療を提供するよう求める。

以上

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