【声明2024.11.21】広域連携型プログラムに対する見解を示し、絶対的医師不足の解消を求める
2024年11月21日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田剛
厚生労働省は、本年7月24日に開催された医道審議会医師分科会医師臨床研修部会において、「医師多数県」とされる県にある基幹型臨床研修病院の研修医が、「医師少数県」とされる県などにある臨床研修病院で24週以上研修する広域連携型プログラム(以下、本プログラム)について、2026年4月から運用を開始することを確認しました。本プログラムでは、派遣元となる「医師多数県」の臨床研修病院が従来のマッチング定数枠の中から本プログラムの枠を捻出しなければならないため、派遣元病院が本プログラムに参加する意義はほとんどありません。
「医師多数県」とされる13県は、10月10日厚生労働省に対し、「医師多数県と位置付けられていても医師不足が深刻である」とし、実態を反映した医師偏在対策を求めるとともに、改めて必要医師数を検証し、どの地域においても確実に医師の確保ができる仕組みを作るべきとの要望書を提出しました。この間「医師少数県」「医師多数県」双方から医師不足を訴える提言や要望書が出されていますが、このことは、地域を問わず医師不足が深刻であり、真に医師が充足している地域はないことを示しています。根本には絶対的医師不足があり、そのもとで相対的な医師偏在が起きています。少ない医師を奪い合うような偏在対策は両者の分断につながると懸念します。また、「医師多数県」のマッチング定数枠が意図的に減らされる中で、希望する病院にマッチすることができない医学生が増加しています。本プログラムは、実質的には「医師多数県」のマッチング定数枠を減らすものであり、医学生の選択の自由をさらに奪うことにつながりかねません。
当会は、医師偏在指標を機械的に運用する本プログラムに反対するとともに、地域を問わず日本に居住するすべての人が、必要なときに必要な医療を受けられるよう、絶対的医師不足の解消を求めます。
以上
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