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声明・見解

声明・見解

【声明2024.11.11】日本は国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の勧告を早急に実施し、 ジェンダー平等、女性の人権、いのちと健康が守られる社会の実現を

2024 年11 月11 日
全日本民主医療機関連合会 会長 増田 剛
人権と倫理センター センター長 加賀美理帆

 10月29日、国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は8年ぶりに日本政府への対面審査を実施し、勧告を含む総括所見(60 項目)を発表しました。女性が不利益を受ける制度や社会システムの存在が多岐にわたる分野で指摘されており、そのすべてが女性の人権といのち・健康に関わる切実な内容であり、早急に実現されるべきものばかりです。

 同委員会は積極的側面として6 点をあげています。女性の再婚時の待機期間の廃止、優生保護法に基づく優生手術などの被害者への補償金等支給、性交同意年齢の13 歳から16 歳に引きあげ、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律改正、男女ともに婚姻最低年齢18歳に引き上げ、セクハラや妊娠・出産に関するハラスメントの相談手続き確立です。これらは、女性や当事者団体など市民社会が粘り強く声をあげてきました。

 一方、特に日本が女性差別撤廃条約を1985 年に批准してから、条約を補強する選択議定書が40 年近く未批准のままであることについて、批准の検討に時間をかけすぎており、努力は極めて不十分と厳しく勧告しました(締約国189 のうち115 カ国が批准)。あわせて、政府から独立した国内人権機関の設立も強く勧告され、立法権である国会が条約の完全実施にむけ重要な役割を果たすよう強調。政治分野のパリティ(50:50)も求めています。
 さらに「フォロ―アップ項目」(2年以内に実施を報告するよう要請した項目)として、選択的夫婦別姓の実施、女性が国会議員に立候補するための供託金300 万円の減額、緊急避妊薬や避妊法への十分なアクセスの提供 (16 ・17 歳の親の同意要件撤廃を含む)、中絶の配偶者同意要件の削除のための法律改正の4点が挙げられました。なかでも選択的夫婦別姓は、ほとんどの政党が公約に掲げ、その気になればすぐにでも導入できます。

 同委員会は、日本には女性に対する差別の包括的かつ明確な定義が存在せず、家父長的態度やジェンダー・ステレオタイプ( 差別的固定観念)が女性の人権状況に悪影響を与えていることについて懸念と改善勧告を示しています。日本において堕胎は罪であり、母体保護法で限定的に許可され配偶者の同意が必要であることに対し、妊娠中絶を合法化し配偶者の同意要件も削除して、女性と女児が安全な妊娠中絶と中絶後の医療を十分うけられるよう勧告。包括的性教育の実施も強く求め、その内容について政治家や公務員による干渉がないよう強調しています。同性婚を認めること、また、2023 年の最高裁違憲判決を受け、「性同一性障害特例法第3条」を改正し、不妊手術を受けざるを得なかった被害者が補償を含む効果的な賠償を受けられるよう求めています。貧困の解消に関しても、新型コロナ感染症の流行により悪化した女性の貧困や性的搾取の増加への懸念と被害防止、男女賃金格差解消、女性の正規雇用を増やすこと、ひとり親 ・高齢女性など不安定雇用解消を求めました。DV被害などジェンダーに基づくあらゆる暴力の撤廃、沖縄の米軍兵士による女性への性暴力の防止や処罰についても厳しく勧告しています。

 全日本民医連は、女性の人権、いのちと健康を守る立場、性と生殖に関する健康と権利( Sexual Reproductive Health and Rights :SRHR)の観点からも、政府および国会が勧告の内容を重く受けとめ、可及的速やかに実現することを求めます。

以上

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