【声明2023.12.01】 生活保護基準引き下げ違憲訴訟 名古屋高裁判決を支持するとともに、 憲法25条に基づき生活保護制度を直ちに改善するよう求めます
2023年12月1日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛
名古屋高裁(長谷川恭弘裁判長)は11月30日、「生活保護基準引き下げ違憲訴訟」で、国が2013~2015年に行った生活保護基準の見直しを理由とする保護変更決定処分は違法であるとして、第1審判決を取り消し、減額した決定の取り消しと国家賠償を命じました。
全日本民医連は、「生活保護基準引き下げ違憲訴訟」における名古屋高裁判決を支持するとともに、国に対し判決を受けいれ、上告を断念し、速やかに引き下げ前の生活保護基準に戻し、減額処分を受けたすべての世帯に減額した保護費、及び賠償金を支払うよう強く求めます。
この「生活保護基準引き下げ違憲訴訟」は、愛知県内に住む生活保護利用者13名が国による2013年10月から3年間行った生活保護費の減額について、生存権を保障した憲法25条に反するとして減額処分取り消しと賠償を求めたものです。全国29の地裁及び高裁において、1000名を超える生活保護利用者が引き下げ処分の違憲性を訴え、たたかっていますが、本判決は同種訴訟での初の高裁における勝訴判決であるとともに国の賠償責任を認めた点で画期的な判決です。
本判決は、厚労省の判断過程と手続きには過誤や欠落があると指摘した上で、デフレ調査に国が用いた独自の指標には学術的な裏付けがなく、客観的な数値と合理的な関連性や、専門的知見との整合性を欠いていると断じ、こうした厚労相の判断過程は裁量権を逸脱し、生活保護法に違反すると結論付けたものです。さらに、基準引き下げによって利用者が被った精神的苦痛を賠償すべきと判断したものです。
全日本民医連は、連続した生活保護費引き下げに加え、物価高騰が生活保護世帯を直撃している実態を踏まえ、直ちに最低生活基準の底上げをはかり、憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を守るよう厚生労働大臣に求めます。誰もが健康で文化的な生活が保障されるよう、引き続き広範な人々とともに、たたかいを進める決意です。
以上
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