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声明・見解

声明・見解

【声明2023.09.30】ノーモア・ミナマタ第2次近畿国家賠償等請求訴訟の全面勝利判決を受けて

2023年9月30日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田  剛

 大阪地方裁判所は、9月27日、ノーモア・ミナマタ第2次近畿国家賠償等請求訴訟において、原告128名全員の勝利判決を言い渡しました。
 この判決は、当会の医師が中心となって患者を真摯に診察し、その症候を誠実に記載して水俣病と診断した「共通診断書」の信用性を認め、原告全員を水俣病と認定するものでした。また、疫学調査に基づいた寄与危険度割合の算定結果に高い信頼性を認定し、感覚障害(四肢末梢優位の感覚障害及び全身性感覚障害)のみの水俣病の頻度が低くないこと、さらに、舌の二点識別覚異常、口周囲の感覚障害、求心性視野狭窄又は運動失調の存在が水俣病である蓋然性を高めること、遅発性の水俣病や症状の変動が存在すること等が裁判所の判断として明確に認定されました。これらの内容は、慢性水俣病の診断について、私たちが一貫して主張してきたものです。
 日本神経学会は、裁判が進行中の2018年5月、環境省の求めに応じて「メチル水銀中毒症に係る神経学的知見に関する意見照会に対する回答」を作成し、水俣病における神経症候の大きな変動や長期間経過後の遅発性発症等を否定し、医学的根拠なく国の主張を擁護しました。しかし、判決はこれらの主張を排斥し、これまで水俣病の臨床や調査研究に取り組んできた原告側医師らの意見や証言を採用しました。これは、水俣病に関する国の姿勢に同調する医師らが長期にわたって水俣病の臨床や調査研究をほとんど行わず、放置するなか、原告側医師らがその臨床と調査研究を補ってきた結果でもあります。
 今回の判決は、公健法で国の定める昭和52年判断条件では水俣病と認定されず、水俣病特措法の救済対象からも漏れた水俣病患者が、水俣病特措法の対象地域や対象年代の線引きを超えて救済される道を切り開くとともに、水俣病の診断基準においても、昭和52年判断条件や国の主張により認められなかった水俣病患者が水俣病として正しく診断されることを明確に示した画期的な判決です。
 国及び熊本県はこの判決を真摯に受け止め、控訴を断念し、速やかにすべての水俣病患者を救済するとともに、不知火海沿岸地域の健康調査及び継続的な環境調査を行うことを求めます。
 そして、全国(熊本・東京・新潟)で係属しているノーモア・ミナマタ訴訟をはじめとするすべての水俣病裁判においても、国・熊本県・チッソは本判決を厳粛に受け止め、早期解決に尽力することを求めます。

以上

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