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声明・見解

声明・見解

【声明2023.06.19】「健康保険証を持てない人」を作り出す健康保険証廃止の中止を強く求める

2023年6月19日
全日本民主医療機関連合会
会 長   増田 剛

 マイナンバーカードをめぐる問題が続出するなか、健康保険証と一体化したマイナンバーカードの利用を国民に強制するマイナンバー法等改正案が、6月2日の参議院本会議で自民党、公明党、維新の会、国民民主党の賛成により可決、成立しました。

 法案の可決後も、次々とマイナンバーカードの誤交付や別人への紐付けなどの誤登録、医療機関に設置されている資格認証機器のトラブルなど、重大問題が噴出していますが、政府は2024年秋の健康保険証の廃止を撤回していません。

 国会審議を通じて、障害者や認知症の方、高齢者など、社会的弱者とされる人たちがマイナンバーカードの手続き・取得・管理ができずに、「健康保険証を持てない人」を制度的に作り出しかねない重大問題が明らかになりました。
 障害者のカード取得をめぐっては、申請した際に「背後に車いすのヘッドレストが写っていたので却下された」、「病気のため黒目が無い人でも、黒目が写っていないので撮り直しとなった」などの事例が報告されています。
 また、現在、多くの介護施設では、入所者の健康保険証を施設で預かっていますが、マイナンバーカードの代行申請は、本人の同意が難しい上に、仮にマイナンバーカードの申請手続きができたとしても、施設側でカードと暗証番号を管理することは困難です。

 このように様々な事情により、マイナンバーカードの申請手続きができない人がいますが、政府は具体的な対策を示せていません。健康保険証を廃止すれば、膨大な数の「保険証を持てない人」が生まれ、保険料を払っていても保険診療を受けられない人が続出することになり、国民皆保険制度の根幹を破壊する重大問題に発展しかねません。患者・利用者も、医療・介護現場も大混乱に陥ることは明白です。

 保険証廃止に対する反対の世論が急速に拡大するなか、新聞各紙も社説等で「保険証の廃止、見直しは今からでも遅くない」など、政府の強引なやり方を批判しています。共同通信社が17,18両日で実施した世論調査によると、延期や撤回を求める声が計72.1%に上ったと報道されています。
 健康保険証の廃止は、国民の生命に関わる重大問題であり、政府の冷静な判断が求められています。国民不在の強引な普及策は愚策です。

 私たちは、政府に対し、健康保険証廃止の中止を求めるとともに、国の責任において、全ての国民にこれまでどおり健康保険証を交付するよう強く求めるものです。

以上

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