【声明2023.05.15】差別を助長するおそれがある旅館業法改正案に反対する
野党各党 御中
2023年5月15日
全日本民主医療機関連合会
(略称:全日本民医連)
会長 増田 剛
差別を助長するおそれがある旅館業法改正案に反対の立場で対応いただくよう要請します
野党各党のみなさま。
政府・与党は、先の臨時国会で継続審議となった旅館業法の改正案につき、通常国会での審議入りを提案し、通過を考えています。すでにCOVID-19は5類に移行され、COVID-19対応としての改正の必要性はなくなっているなかで、あわててこの改正案を通過させることに意味はありません。
むしろ、この改正案については、日弁連、ハンセン病弁護団などから、差別を助長するものとの批判が強く出されています。私ども全日本民主医療機関連合会としましても、医療機関として、こうした批判や懸念の声を共有するものです。その立場から、別紙声明「差別を助長するおそれがある旅館業法改正案に反対する」も発出いたしました。
野党各党のみなさまにおかれましては、私どもの声明も含め、同法案への批判や懸念の声に耳を傾けていただき、法案に反対の立場から、審議入りを認めない立場でご対応いただきますようお願いいたします。
(声明)差別を助長するおそれがある旅館業法改正案に反対する
2023年5月15日
全日本民主医療機関連合会
(略称:全日本民医連)
会長 増田 剛
第210国会(臨時会)で継続審議となった旅館業法改正案について、今通常国会での審議入りが提案された。全日本民医連は医療機関として、同法案に対し、以下の理由で反対するものである。
① 改正法が新たに可能とする対応が、感染症対策として必要かつ妥当かどうかは、専門家の意見も踏まえ、その都度具体的に検証される必要がある。今回の改正案では、病状ある宿泊者が不当に宿泊する権利を奪われ、場合によっては生命の危険にさらされることになる。
② 改正案によれば、医療機関は、宿泊業者からの求めに応じて、受診や相談に応じることとなるが、そもそも医療機関を受診するかどうかは患者本人の意思によるべきである。また、ホテル・旅館の営業者が医療機関の受診や関係機関への相談を宿泊者に義務づける法律上の根拠は極めて曖昧であり、医療機関が無用な混乱にまきこまれる可能性がある。
③ 最近においても、ハンセン病患者の宿泊拒否などの事例が見られる中、日弁連やハンセン病弁護団、マスコミから、同法案が差別助長につながるとの懸念が表明されていることに真摯に耳を傾けるべきである。
④ COVID-19の感染拡大の中で、多くの医療従事者が生活の場面において様々な差別を受けたことはよく知られている。改正法案は、医療関係者などのエッセンシャルワーカーが宿泊する場合において、宿泊拒否の根拠とされる可能性など、新たな差別の根拠となりかねない。
以上
(PDF)
- 記事関連ワード