【会長声明2023.01.23】旧優生保護法国賠訴訟・熊本地裁判決について
2023年1月23日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛
1月23日、熊本地裁は、旧優生保護法下で強制された不妊手術に対する国賠償訴訟判決において、旧優生保護法の違憲性を認めた上で、国に対して2200万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。2月の大阪高裁判決、3月の東京高裁判決に続き、原告の請求を認めた3例目の判決であり、初の地裁判決となった。
判決では、旧優生保護法の優生条項について、「目的及び手段には正当性もおよそ認められない」として、憲法13条、憲法14条に反することを明確に認めた。
そして、これまで地裁判決において原告の請求を斥ける根拠とされていた「除斥期間」規定に対し、被害の甚大性、国の重大な帰責性、権利行使の困難性、憲法の最高法規性を理由に挙げ、除斥期間の適用が「著しく正義公平の理念に反する」としてその適用を制限した。
また、国の除斥期間の主張に対して、証拠資料の散逸、消滅など原告らが除斥期間内に訴え出ることが困難な原因をつくりだした責任が、旧優生保護法を制定し、運用した国にあることを明確に述べ、旧優生保護法下で強制不妊手術という甚大な人権侵害よりも、除斥期間の機械的な適用という法的安定性を優先させることは許容できないと断じたことは、現在各地で闘われている地裁、高裁における今後の判決につながるとともに、被害者救済に大きく道を拓く内容であると考える。
国に対し、控訴することなく本判決を確定させることを強く求める。各地で訴訟が提訴されてから5人の原告が亡くなっており、原告・被害者の救済には一刻の猶予も許されない。本判決、及び大阪、東京の2つの高裁判決の内容を重く受けとめ、一時金支給法の抜本改正をはじめ、被害者の救済と尊厳回復に向けた措置を早急に講じることを要請する。
私たち民医連は、各地で闘われている裁判を支援するとともに、被害を受けた方々への補償の実現、尊厳の回復に向け、被害当事者のみなさんとも連携し、引き続き取り組んでいく所存である。
以 上
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