【声明2022.12.05】参議院本会議における改正感染症法の可決・成立に強く抗議する
2022年12月5日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛
12月2日、参議院本会議において、改正感染症法が可決・成立しました。
同改正法は、「医療提供体制の強化」は名ばかりで、平時から余力のない医療提供体制や公衆衛生機能等の根本的な問題を正すものにはなっていません。
そもそも、改正法が示す危機管理の対応の柱は、感染症病床確保の責任を都道府県に押し付け、医療機関に対しては法的強制によって統制強化を図ることです。具体的には、医療機関は、病床確保や発熱外来の設置について事前に都道府県との「協定」締結を求められます。公立・公的病院、特定機能病院、地域医療支援病院には、感染症医療の提供を義務化し、勧告・指示に従わなければ指定取り消しなどの重い罰則が設けられています。また、民間医療機関は、都道府県と「協定」を結ぶための話し合いには必ず応じなければならず、協定履行状況は公にされ、協定に沿った対応をしない場合は指示や病院名の公表等が行われます。
しかし、今般の新型コロナ感染症のパンデミックによる医療崩壊は、医療機関への法的な強制や統制する仕組みや罰則が無かったからではありません。医療崩壊の最大の要因は、長年の政府による医療・社会保障抑制政策により、医師や看護師、保健師などの医療・介護・公衆衛生に関わる従事者が圧倒的に不足していたことによるものです。
パンデミックにおける病床確保等に必要なのは、統制強化と罰則ではなく、これまでの新型コロナウイルス感染症対策や施策について、専門家の意見を踏まえて十分な検証と総括を行ない、財政支援や医療・介護・福祉・公衆衛生に関わる体制を抜本的に見直し、大幅に人員を増やし、緊急時にも対応できる体制を再構築することです。
全日本民医連は、改正感染法の可決・成立に強く抗議し、真に「医療提供体制の強化」につながる感染症法への改正を求めます。
以上
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