【声明2022.12.05】防衛費の大幅増額の財源として、病院独立行政法人の積立金を早期返納させる案に強く抗議し、撤回を求める
2022年12月5日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛
11月22日に行われた「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」において、岸田文雄首相が打ち出した防衛費大幅増額の財源として、独立行政法人の国立病院機構(NHO)と地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金、約1,500億円を早期国庫返納させ、防衛費に活用する案が俎上にのぼっています。
鈴木俊一財務相は11月25日の記者会見で「関係省庁とよく議論していきたい」と述べ、検討する考えを表明しました。
早期国庫返納の対象にあがっている両法人は、2年半以上にわたる新型コロナ感染症との闘いで、最前線で市民のいのちを守るために全力で奮闘してきた医療機関の一つです。
今回の表明は、コロナ禍で過重な労働を強いられてきた現場の医療従事者へさらなる労働環境の悪化など、強い不安を広げています。
そもそも、全国の医療機関で経営難と人手不足が常態化し、医療提供体制が弱体化したのは、長年にわたる政府の医療費削減政策によるものです。そこに今般の新型コロナ感染拡大が襲い、医療崩壊が現実のものとなり、救えたはずの命が救えない事態に陥りました。
これまでの医療費削減政策になんの反省もなく、財務省は2法人を所管する厚生労働省に早期返納を迫っていますが、今必要なのは、防衛費の大幅増額などではなく、パンデミックに備えた「ゆとりのある」医療提供体制を再構築することです。
国立病院機構(NHO)と地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金は、いのちを守る医療提供体制の強化にこそ使われるべきです。
全日本民医連は、人間のいのちを奪う防衛費の増額に断固として反対するとともに、その財源として、国立病院機構(NHO)と地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金を早期返納させる案に強く抗議し、撤回を求めます。
以上
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