【声明2022.10.20】横浜地裁の生活保護減額処分取り消し判決を支持するとともに、国に憲法25条に基づき生活保護制度を、直ちに改善するよう求めます
2022年10月20日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛
横浜地裁(岡田伸太裁判長)は10月19日、「生活保護基準引き下げ違憲訴訟」で、国が行った生活保護減額は生活保護法に違反するとして、処分を取り消す原告勝訴の判決を言い渡しました。
全日本民医連は、「生活保護基準引き下げ違憲訴訟」における横浜地裁判決を支持すると共に、国に対し判決を受けいれ、処分の違法を認めて控訴を断念し、速やかに減額処分を受けたすべての世帯に減額した保護費を支払うことを強く求めます。
この「生活保護基準引き下げ違憲訴訟」は、神奈川県の生活保護利用者46人が、国による2013年10月から3年間行った生活保護費の減額について、最低限度の生活を保障した憲法25条に反するとして減額処分取り消しと賠償を求めたものです。
横浜地裁判決は、「ゆがみ調整」については厚生労働大臣の裁量権の逸脱・乱用はないとしたものの、「デフレ調整」については、特異な物価上昇が起こった2008年を起点としたこと、独自の生活扶助CPIを使用し、物価下落率を大きく算定した厚生労働大臣の判断は、専門的知見や分析、検証を行うことが必要であり、これを経ずにデフレ調整を行った厚生労働大臣の判断の過程および手続きに瑕疵があるとして、生活保護法違反と認定しています。
同訴訟の地裁判決は13件目で、処分の取り消しは大阪地裁、熊本地裁、東京地裁に次ぐ4件目です。全国29都道府県の1000人近い原告がたたかっている各地の「生活保護基準引き下げ違憲訴訟」に、大きな激励となるものです。
全日本民医連は、連続した生活保護費引下げに加え、物価高騰が生活保護世帯を直撃している実態を踏まえ、直ちに最低生活基準の底上げをはかり、憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を守るよう厚生労働大臣に求めます。誰もが健康で文化的な生活が保障されるよう、引き続き広範な人々とともに、たたかいを進める決意です。
以上
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