【声明2022.06.28】被保険者証を廃止し、マイナンバーカード代替の原則義務化は白紙撤回を求めます
2022年6月28日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛
岸田政権が6月7日に閣議決定した経済財政運営の基本方針「骨太の方針」は、健康保険証(以下、保険証)の原則廃止を目指すとして、保険証の代わりにマイナンバーカードを利用できるシステムの導入を原則義務化にするとしています。
マイナンバーカードの取得は法令で国民の任意に委ねられていますが、保険証を廃止すれば、医療を受けるためマイナンバーカード取得を強制するもので、法令違反です。
また、マイナンバーカードの取得率は、現在国民の44%に過ぎず、被保険者証としての利用申請に至ってはわずか7%に止まっています。巨額な税金を投入してポイント還元を行っても、利用は進んでいない要因を明らかにすることなしに強制するなど、あってはなりません。医療を受けるために、保険証提示による現行の資格確認において、本人確認含めて特段の支障はなく、マイナンバーカードに代替させる必要性はありません。
生命と健康に関わる医療を人質にマイナンバーカード取得を強要するやり方は、あまりに乱暴であり、断じて容認することはできません。
国民健康保険であれば郵送、社会保険であれば会社を通じて保険証を受け取るため、市町村の役所に行く必要がありません。しかし、マイナンバーカードで診察するには、マイナンバーカードに内蔵する電子証明証の交換期限が5年のため、5年に1回は役所に行かなければならなくなります。さらに、10年ごとに訪れるカードの更新では、役所に出向く必要がある上に、新しいカードの発行には10日以上かかると言われています。また、保険証であれば、一般的に月に1回の窓口提示で済みますが、マイナンバーカードは受診のたびに読み取り機にかざす必要があります。このようにマイナンバーカードは、手間も時間もかかり、何のメリットもありません。
また、マイナンバーカードを他人が扱うことはできず、総務省は「入所者の同意を得て、カード裏面の個人番号をカバーなどで隠せば、カードを預かることも可能」と説明していますが、認知症の方など顔認証ができない場合は、暗証番号を職員が入力しなければならないなどの問題もあります。
今回、進まない市民の個人情報を一元管理する目的にマイナンバーカード普及を強制的に進めるために、医療を受けるために大切な被保険者証を廃止することは愚策です。
患者・利用者はもとより、医療・介護現場に大混乱を及ぼしかねない「保険証を廃止し、マイナンバーカード代替の原則義務化」は、白紙撤回を求めます。
以上
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