【要求】2022年参議院選挙に向けての民医連の要求
2022年参議院選挙に向けての民医連の要求
「かけがえのない いのち 憲法を生かす社会の実現を」
2022年5月21日
全日本民主医療機関連合会
はじめに
医療や介護の現場で働く私たちは、いのちと人権の守り手として、平和に生きる権利が保障され、個人の尊厳が守られることを願っています。来る参議院選挙に向けて、憲法の理念を生かし、人権が尊重される公正な社会の実現を求めて、「民医連の要求」を発表します。
ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略から3カ月を超え、病院や学校、駅への攻撃や民間人の虐殺などその非人道性は目を覆うばかりであり、国連憲章に反するロシアの暴挙は糾弾されるべきです。軍事対軍事では平和を守れないことが、日増しに明白になっています。戦争は最大の人権侵害です。日本は戦前の侵略戦争を反省し、憲法9条で戦争を放棄し、戦力も持たず、交戦権も認めず、紛争は平和外交で解決することを決意しました。しかしいま自民党や日本維新の会は、ロシアによる侵略戦争に乗じて、「敵基地攻撃能力」の保有やアメリカと一体となった軍事力強化、核の共有、そして9条改憲など愚かな発言を繰り返しています。攻められたら攻め返す、軍事に軍事の対抗では、国民のいのちを守り、平和を実現することはできません。ウクライナの惨状がそのことを示しています。日本政府がとるべき道は、軍事力に頼らず、戦争を起こさず、国連憲章に基づき、憲法9条を生かした平和外交の姿勢を鮮明にし、唯一の戦争被爆国としての役割を果たし、世界の平和に貢献することです。
国民生活では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から2年が経過しましたが、「自助」が執ように強要される中で、格差と貧困がいっそう拡大し、個人の尊厳が侵害される事態が多数発生しています。公衆衛生や医療提供体制の脆さや社会的弱者への支援の貧弱さが浮き彫りになり、自己責任ではいのちと健康、暮らしが守れないことが、誰の目にも明らかになりました。にもかかわらず、社会保障やくらしをさらに切り捨てる政治がいまなおすすめられています。
日本国憲法前文には、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と謳われています。私たちは医療・介護従事者として、憲法改悪、軍事力強化、経済優先の政治ではなく、何よりもいのちを大切にする政治への転換を求めます。
Ⅰ.憲法9条を守り生かし、日本国憲法の理念にもとづく平和外交で、世界の平和に貢献するよう求めます
いま、9条改憲をすすめる動きが強まっています。「専守防衛」の考え方を根本から転換する敵基地攻撃能力=「反撃能力」は、憲法9条が禁止する戦力そのものです。9条の力で歴代政権をしばってきた防衛予算GDP比1%の枠を外し、2%に倍増する防衛力抜本強化の予算増も狙われています。こうした動きは、東アジアや世界の軍事的緊張を高めるものです。
日本は、憲法前文の平和的生存権、9条の戦争放棄・戦力不保持により、戦後77年間、他国に対する武力行使を一度も行っていません。敵をつくらず平和な信頼関係を築くことこそが、人類にとって一番の安全保障です。
私たちはいのちを守る医療・介護従事者として一切の戦争政策に反対します。日本が憲法9条の理念を守って、平和外交をつくし戦争しない国づくりをすること、紛争を武力でなく平和外交により解決するASEAN(東南アジア諸国連合)のような仕組みを、東アジアにも構築すること、憲法違反の安保法制は廃止し、辺野古新基地建設は中止すること、唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准し、国連憲章にもとづく外交政策で世界の平和に貢献する国をめざすことを求めます。
(1)改憲発議せず、世界に誇る憲法9条を守ることを求めます
・憲法改憲発議をしないこと
・米国とともに日本の自衛隊が海外で武力行使する根拠となる、集団的自衛権の行使を認める憲法違反の安保法制の廃止すること
・他国への先制攻撃を可能とする敵基地攻撃能力の保有の検討中止すること
(2)辺野古新基地中止、戦争する国づくりにつながるあらゆる政策の中止を求めます
・沖縄県名護市の米軍辺野古新基地建設を中止し、普天間基地の即時返還を実現すること
・不平等な日米地位協定を改定すること。その根本にある日米安保条約の解消をめざすこと
・米軍の低空飛行の禁止、日本各地の在日米軍基地に配備されたオスプレイを撤去すること
・自衛隊基地の軍事的強化を中止すること。オスプレイ配備中止・撤去すること
・馬毛島への米軍の空母艦載機着陸訓練(FCLP)移転、自衛隊基地建設計画は中止すること
・国際的な緊張を高め、国内では社会保障費の抑制等につながる防衛予算=軍事費を削減すること
(3)核兵器廃絶、核兵器禁止条約に被爆国日本の参加を求めます
・核兵器禁止条約を批准し、日本が核兵器廃絶の先頭に立つこと
・日本の国是である非核三原則の厳守すること
・核抑止力論に基づく政策を転換し、米国との「核共有」を行わないこと
Ⅱ.憲法25条を生かし、いのちを守ることにお金をつかう国への転換、人権としての社会保障実現、貧困をなくし格差を是正する公正な税制を求めます
社会保障の拡充は、国民のいのちとくらしを守り、健全な経済をもたらします。憲法25条で保障された、健康で文化的な生活を実現する社会保障の拡充は国の責務です。社会保障費の増額、いのちを守る予算の抜本的な増額を求めます。
コロナ禍の収束まで、検査やワクチン体制の改善・強化、発熱患者の医療体制の整備、罹患後症状への対応、受療権保障の各種施策の強化、介護保険制度の抜本的な改善を求めます。また、国民各層の生活支援の施策の強化を求めます。
コロナ禍はこれまでの社会保障削減政策の誤りを明白にし、新興感染症への危機対応など、ゆとりある医療・介護の提供体制拡充の必要性についても明らかにしました。医師・看護師をはじめ医療従事者や介護従事者の養成、確保、公衆衛生体制を抜本的に強化すること、医療費削減を目的とした病床削減をあらため、地域に必要な医療機関や病床を確保すること、医療機関、介護施設・事業所への財政支援の強化、診療報酬、介護報酬の抜本的な改善を求めます。
格差・貧困の拡大、コロナ禍でのさらなる困窮の中で、生活保護の重要性が一段と高まっています。憲法25条に保障された健康で文化的な生活の実現に資する生活保護基準へと見直し、「水際作戦」や申請者の意に反する扶養照会は中止し、人権保障にふさわしい生活保護行政を求めます。日本に在留する外国人への支援、医療保障も求めます。
これらの実現に向け、公正な税制実現で格差と貧困の是正を求めます。逆進性の強い消費税率は5%に引き下げ、社会保障の改善、充実の財源は、国民負担ではなく国と大企業に応分の負担を求めます。
(1)コロナ対策のさらなる強化と抜本改善を求めます
1)新型コロナウイルス感染症の陽性者や発熱者などに対し、必要かつ十分な医療の提供を
・発熱や体調不良などの症状が生じたときは、速やかに必要な医療が受けられるようにすること
・在宅や施設などで療養する場合においても、症状に応じて必要な医療が受けられるような医療体制確立に向けて、十分な財政措置を行うこと
2)PCR検査やワクチンの確保・接種体制強化、発熱者医療体制の整備、治療薬研究推進を
・必要な人が必要な時に全額公費でPCR検査を受けられるよう、体制を強化すること
・医療機関、介護施設・事業所、障害者施設、保育所・児童施設の職員が、必要な時にPCR検査を受けられるよう検査体制を整備すること。その費用は国庫負担とすること
・感染拡大を抑え病床のひっ迫や医療崩壊を防ぐために、引き続きワクチン接種体制を整え、国と自治体の責任で必要な国民、住民への情報提供、接種を行うこと
・医療従事者のワクチン優先接種を継続すること。ヘルパー、ケアマネジャーなど在宅介護事業所の従事者についても無条件にワクチンの優先接種の対象とすること
・発熱者医療体制を整備し、発熱者の受療権を保障すること
・国の責任でワクチンの安全性の検証を行い、その結果を公表すること。同時に、ワクチン接種後の副反応について検証を進め、広く補償を行うこと
・国の責任で新型コロナウイルス感染症のワクチンや治療薬の研究を充実、強化すること。速やかに必要量を確保するために、国内開発をすすめること
3)新型コロナウイルス感染症の罹患後症状への対応と、生活保障対策を
・国の責任で罹患後症状の実態を把握すること
・安心して罹患後症状の治療を受けられるよう、生活保障を含む対策を講じること
4)生活、生業への支援、女性や学生へ支援を
・現在実施されている各種施策について、新型コロナウイルス感染症収束まで継続すること
・正規雇用、非正規雇用、フリーランス等を問わず、収入減となった人への支援を強化すること
・女性が利用しやすい各種支援制度を拡充し、特段の支援強化をすること
・ひとり親家庭や妊産婦、子育て世代に対して、相談体制や各種手当を拡充し、安心して子育てできるよう支援をすること
・学生がコロナ禍による生活困難から学業を断念することがないよう、給付型の経済支援を拡大強化すること。給付型奨学金の拡大や高等教育の学費無償化を実現すること
・医学生や看護学生が国家試験の際に新型コロナウイルス感染症に感染した場合、もしくは濃厚接触者となった場合に受験の機会が奪われることがないよう再試験を実施すること
5)コロナ禍での医療・介護事業所への感染症対策支援、財政支援を
・国民のいのちを守り、生活を支える医療体制を維持するための財政支援を強化し、コロナ患者受け入れ病床を設置しない医療機関に対しても減収補填を行うこと
・すべての医療機関、介護施設、障害者などの福祉施設を対象に、陽性者やクラスターが発生した際の減収補てんなど、財政支援を強めること
・介護事業所の減収に対して、利用者の追加的負担を伴わない公費による補てんを行うこと、介護報酬への上乗せによって補てんする場合は、利用料の算定対象から除外すること
・高齢者施設、障害者施設の入所者で陽性が判明した場合は、医師をはじめとする医療職の派遣、介護スタッフの支援、感染対策費用などに対する経済的支援など必要な対策をすみやかに行うこと
(2)健康権、受療権の保障、真の「介護の社会化」の実現を求めます
1)誰もが安心して医療が受けられる受療権の保障を
・誰もがお金の心配なく安心して医療が受けられるよう、医療費の一部負担金ゼロを目指し、当面の減免策を拡充すること。また、国保の一部負担金を減額・免除する措置(44条適用)が活用しやすいものになるよう、改善すること
・保険料を支払っても生活が維持できる国保保険料(税)にするため、十分な国庫負担を行うとともに、減額・免除の措置(77条適用)を拡充すること
・国保保険料(税)滞納者への短期保険証、資格証明書発行を中止し、国保加入者全員に正規保険証を発行すること。国保保険料(税)滞納者の実情を丁寧に把握し、厳しい制裁はやめること。
・子どもの国保保険料は無料とすること
・子どもの医療費一部負担金は、国の制度として18歳まで無料にすること。小学生以上の子ども医療費無料化の助成を実施する自治体に対する、国保の国庫負担金減額措置をやめること
・後期高齢者医療制度の一部負担金の2割化は中止し、国庫補助を増額すること
・障害者医療の「償還払い制度」を撤廃すること
・お金の心配をせず、安心して歯科医療が受けられるよう、窓口負担割合を下げること
・保険で良い歯科医療を受けられるよう、健康保険で受けられる歯科治療の範囲を広げること
・歯科医療の充実に必要な国の予算を増額すること
・すべての世代が歯科検診を受けられるようにすること
・国会で請願採択された、学校健診で要治療と指摘された子どもの矯正歯科治療の保険適用を実効あるものにすること
・コロナ禍で重要性が増している無料低額診療事業を拡充し、無料低額診療事業の対象者について、保険薬局での薬代や訪問看護への適用をはかること
2)介護保険のさらなる改悪の中止と、真の「介護の社会化」を実現する制度への転換を
・2021年8月から実施されている補足給付の見直しは即刻中止すること。総合事業サービスの対象者の拡大をとりやめること
・介護施設・病院等の就業場所や職種を問わず、すべての介護従事者の給与を早急に全産業平均水準まで引き上げること。その財源は全額公費で賄うこと
・テクノロジー機器の導入と引き替えに人員配置基準を切り下げる検討を即刻中止し、専門職を大幅に増員すること。
・次期見直し(2023年法「改正」)に向けて、利用料2割負担・3割負担の対象拡大、要介護1、2の生活援助等の総合事業への移行、ケアプランの有料化、福祉用具貸与事業の見直し(レンタルから販売への切り替え、単品プランの介護報酬の引き下げ)など、さらなる負担増・給付の削減につながる検討を行わないこと
・現在の制度の内容を「全世代型社会保障改革(社会保障・税一体改革)」実施以前に戻すこと。具体的には、利用料2割・3割負担を1割負担に戻す、要介護1、2も原則特養入所対象とする、総合事業の従前相当サービスを予防給付に戻す、補足給付における資産要件を撤廃するなどの見直しを行うこと。その実現のために介護保険財政における国庫負担の割合を大幅に引き上げること
・政府の責任で「介護保険22年」の検証を行い、必要な時に必要な介護が保障されるよう介護保険制度の抜本的な見直しを行うこと
3)安全、安心の医療を保障する医師、看護師不足の解消、医療従事者、介護従事者の安定的な確保・養成、処遇改善に向けた抜本的な予算措置を
・医師、看護師をはじめとしたすべての医療従事者、介護職員が健康に働き続けられるよう、抜本的な増員策を行うこと。そのための財政支援を行うこと
・医師の働き方改革関連法で示されている、過労死ラインを大幅に超える医師の時間外労働の上限規制について見直しを行い、医師の過重労働を軽減すること
・医療・介護現場に従事する看護職員の賃金が、その職責や職務内容に見合うよう、すべての看護職員の処遇の抜本的改善を行うこと。処遇改善の安定的実施が可能な財政的支援を行うこと
・病棟看護師の配置基準を抜本的に見直し、労働実態に見合う配置に改善すること
・在宅医療、訪問看護、介護におけるサービス提供者の安全確保、労働環境の整備について有効な対策を講じること
・介護職員の養成と処遇改善をすること。
4)いのちと健康を守る質の高い医療・介護の提供体制の拡充を
・新型コロナウイルス感染症対応の総合的な評価も踏まえて、地域医療構想は見直すこと
・今後の新興感染症、自然災害に十分対応できる医療提供体制を整備すること
・公立・公的病院の再編統廃合、独立行政法人化の推進や民間譲渡は中止し、行政的医療を充実させること
5)保健所設置基準を見直し、保健師の抜本的な増員など公衆衛生体制の拡充を
・公衆衛生の拠点である保健所設置基準を見直し、当面、1994年の地域保健法施行前の人口10万人に一つの水準に戻すこと。保健師数は抜本的に増やすこと
・感染症の危機管理体制強化のため、そのセンター機能として国立感染症研究所の人員体制の拡充や人材育成を行うこと。また、PCR検査を含む検査体制の強化に向け、地方衛生研究所に必要な予算措置と人員配置を行って体制を強化すること
6)抜本的な診療報酬、介護報酬改善を
・2022年度診療報酬改定は、医療提供体制の危機に直面したコロナ禍の教訓に背を向けたものであり、すみやかに見直し再改定を行うこと
・医療機関は患者・国民のいのちと健康を守る国民の公共財であり、その経営を守る診療報酬を抜本的に改善し引き上げること。同時に、安心して受診できるよう、患者負担の大幅な軽減を行うこと
・繰り返される新興感染症から国民のいのちを守るために、必要な医療提供体制確立とそれを保障する診療報酬の改善、大幅な増額を行うこと
・介護報酬について、事業所が介護の質の向上、事業の継続、職員の処遇改善を図ることができるよう、土台となる基本報酬の底上げを図ること
・医療機関の負担する控除対象外消費税の還付を行うこと
(3)誰もが安心して暮らせる日本へ、人権保障の実現を求めます
1)憲法25条に基づく人権保障としての生活保護制度、年金制度の拡充実現を
・人権保障の制度として、誰もが必要な時に利用できる生活保護制度にすること
・生活保護の利用を制限する「水際作戦」や、申請者の意に反する不当な扶養照会は中止すること。車の所有、利用制限など、申請をためらわせる運用をやめること
・生活保護基準の切り下げを直ちに中止し、もとの額に戻すとともに、憲法25条に保障された健康で文化的な生活を送ることができる生活保護基準に引き上げること
・各種手当を生活実態に見合う額に引き上げること
・低い補足率を引き上げ、生活困窮者の生活再建や自立をすすめること
・生活保護利用者の医療扶助の国保・後期高齢者医療制度への加入は、検討を中止すること
・生活保護のケースワーク外部委託化を中止するとともに、市区町村のケースワーカー業務を見直し、社会福祉士の有資格者を配置し、住民の相談業務にしっかり向き合えるように改善すること。
・最低年金保障制度の確立をめざし、現状で低所得にある高齢者の年金を引き上げること
・年金引き下げの仕組みである「マクロ経済スライド」は廃止すること
2)外国人の人権保障として、生活支援、医療保障を
・日本が批准している「難民条約」、「人種差別撤廃条約」、「国際人権規約」等に基づき、在留資格の有無にかかわらず、生活苦に陥った外国人に生活保護を適用すること
・国の責任で、医療が必要になった在留外国人には、医療へのアクセスを保障できる体制を整え、医療費支援をすること
・受診時など、必要な時に公費で通訳を利用できるようにすること
(4)公正な税制実現で格差と貧困を是正し、いのち守る財政に抜本的な転換を求めます
・不公正な税制をただし、税の応能負担を強め、大企業や富裕層への課税を強化すること
・逆進性の強い消費税率を5%に引き下げること
・医療、介護などいのちにかかわる分野に十分な財政措置を行うこと。社会保障の充実で、生活安定・向上機能、所得再分配機能、経済安定機能を高めること。
Ⅲ.すべての人が個人として尊重され、言論・学問の自由が保障される社会、ジェンダー平等の実現を求めます
すべての人の尊厳が守られ、安心して暮らせるよう、憲法13条に保障された個人の尊重、憲法24条にもとづく公正な社会の実現を求めます。ジェンダー平等の基礎となる一人ひとりの経済的自立や、ジェンダー平等を実現する制度改善、政治参画、教育の実現を求めます。子どもたちや高齢者の人権を守り、あらゆる世代の人びとの生活が尊重されるよう、必要な制度の拡充、財政保障を行うことを求めます。また、日本学術会議委員の任命拒否は、民主主義を破壊し、学問の自由に時の権力が介入するもので、認められるものではありません。
(1)すべての人の尊厳が守られる社会に向けた制度改善、施策を求めます
・最低時給1500円とともに、同一労働同一賃金、男女の賃金格差の解消を実現すること
・「住む権利」を保障するために、所得に応じた負担で入居できる良質な公営などの住宅供給を行うこと
・ケア労働者(介護、障害、保育等)の賃金を全産業平均水準まで早急に引き上げること
・ヤングケアラーをふくめ、家庭内でケアを担う人に対する支援を抜本的に強化すること
・LGBTQ、外国人、障害者などに対するあらゆる差別を廃絶するための施策を拡充すること
・障害者権利条約に基づいて障害者総合支援法の見直しを行うこと
・旧優生保護法による強制不妊手術被害者の一日も早い被害回復と、早期全面解決に向けて、現在の一時金支給法の抜本改正をはじめとする必要な措置を、政府の責任で講じること
・日本も批准している「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」を全面的に実行するために、必要な施策を行うこと。子どもへの虐待をなくし、すべての子ども、若者の生きる権利と、健やかに育ち学べる権利を保障するよう、十分に予算を拡充し、施策を行うこと。
・高齢者が年齢による差別を受けることなく、いのちと尊厳が守られ、最後までその人らしく生活するために必要なあらゆる施策を充実させること
・学問や言論の自由を守り、日本学術会議法に基づく会員の任命を行うこと
(2)ジェンダー平等を実現するために必要な施策を実施することを求めます
・政治の意思決定の場でジェンダー平等を実現していくために、パリテ(政治代表の男女均等原則)を導入すること
・選択的夫婦別姓制度を実現すること
・包括的な性教育を推進し、性暴力を根絶させること
Ⅳ.気候正義の実現、エネルギー政策の転換で地球環境の保全を求めます
いま、地球環境を保全し地球温暖化にはどめをかけることは、世界中でとりくむ待ったなしの課題です。COP26が掲げた、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ1.5℃以下に抑える「1.5℃目標」の達成に向け、具体的な施策を実施するとともに、原発ゼロ、再生可能エネルギーへの転換に向けて、「第6次エネルギー基本計画」の撤回、原発ゼロ基本法をすみやかな制定を求めます。大量生産、大量廃棄の経済活動からの転換をはかり、自然環境を守る農業や林業への支援を求めます。
地球温暖化や気候変動に伴う大規模災害も多発しています。被災者生活再建支援法にもとづく災害被災者への支援の拡充を求めます。
・脱炭素社会をめざし、COP26の「1.5℃目標」の達成に向け、2050年までにカーボンニュートラルを実現するため、2030年までに2010年比で約45%二酸化炭素排出量を削減する施策を実施すること
・CO2を大量排出する石炭火力発電、放射能汚染や環境破壊を引き起こす原子力発電に固執した「第6次エネルギー基本計画」は撤回すること
・原発ゼロ基本法をすみやかに制定すること。原発の再稼働はやめ、地産地消の自然・再生可能エネルギーに転換すること
・災害被災者への支援については、被災者生活再建支援法に基づく支援金の引き上げと、支援対象になっていない半壊や一部損壊など支給対象の拡大、小規模自然災害への支給など適用条件の大幅緩和を行うこと
・大量生産、大量廃棄の経済活動からの転換をはかるとともに、自然環境を守る役割も持つ農業を支援する政策をすすめること
以上
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