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声明・見解

声明・見解

【声明2022.02.24】2022年度診療報酬改定(医科)についての声明

2022年2月24日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛

 本年2月9日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)総会にて、2022年度診療報酬改定の答申が行われ、4月からの改定内容が確認された。本改定は、新型コロナウイルス感染症の中であらわになった脆弱な医療提供体制をどう立て直すかが焦点であったが、全体で▲0.94%(本体+0.43%、薬価▲1.35%、材料価格▲0.02%)と、5回連続のマイナス改定となった。コロナ禍を経てもなお、従来の医療費抑制政策を継続・強行し、さらなる医療提供体制の弱体化を推し進めるものである。
 政府は、コロナ禍において医療崩壊を招き、国民のいのちを守ることができなかった根本原因や失策から目を背け、この惨事に便乗し、さらなる医療機関の縮小・再編や分断を狙っている。この間、全国すべての医療機関が、情報も資材も人員も不足する中でコロナ治療も通常医療も守り抜こうと必死に奮闘してきた。本改定は、その努力を裏切るものであると同時に、国民の要望からもあまりにもかけ離れている。
 当会は、本改定に対し、満身の怒りを持って抗議するとともに、国民のいのちと健康・暮らしを守る立場から、抜本的な見直し・再改定を強く求める。
 この間繰り返されている医療崩壊の根本原因は、自公政権と維新の会が押し進めてきた新自由主義的緊縮政策にあることは明らかである。保健・医療機関の縮小・再編・弱体化を推し進めるとともに、長年にわたる医師・看護師不足への抜本的対応を怠ったことにより、慢性的な人員不足の中でコロナ禍に直面し、病床があっても医師・看護師不足によって必要な体制を組むことができず、医療が提供できない状況が全国各地で発生した。また、医療機関の経営はコロナ以前から約半数が赤字という状況であり、多くがコロナ禍での事業収益の落ち込みにより厳しさが継続している。しかし、昨年12月に財政制度等審議会から財務省に出された「令和4年度予算の編成等に関する建議」では、データを恣意的に利用することで「医療機関の経営実態は近年になく好調であり、マイナス改定を続けることなくして医療費の適正化は到底図れない」と述べ、建議の答申通りの予算編成・報酬改定となった。
 本改定において、7対1病床を含めた一般急性期病床のさらなる削減を目的とした「重症度、医療・看護必要度の評価項目の見直し」及び急性期一般入院料1(許可病床数200床以上)を算定する病棟について、「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」を用いることが要件化された。本来、新興感染症に備えるためにも余裕のある体制確保が求められる中で、看護体制の縮小を誘導することは、急性期病棟をはじめ地域包括ケア病棟や慢性期病棟の医師・看護師の負担をさらに増やすとともに、コロナ禍で発生したように、重症であっても必要な医療を受けることができない事態を一層拡げることとなる。また、多疾患を併存している高齢者の医療需要とも乖離する。さらに、患者の受療権を奪い、医療構造の解体にもつながる「紹介状なしで受診する場合等の定額負担の対象拡大と負担額の増額」、医療費のさらなる抑制を目的とした「リフィル処方箋の導入」、そして経済界からの強い要望を受けて、医療の原則を解体することにもつながる「初診からのオンライン診療解禁」等も盛り込まれた。いずれも、いのちや健康をまもることとは相容れない新自由主義的思想に基づく、国民のいのちを軽視する改定である。
 今、求められていることは、医師・看護師の抜本的増員も含め、繰り返される新興感染症に対応しうる、国民のいのちを守ることのできる医療提供体制に転換することであり、それを保障するための大幅な診療報酬の増額が必要である。
 当会は、医療機関の真の実態を国民に伝え、多くの個人、そして医療団体と力を合わせ、日本の医療を守るために全力を尽くす。 

以上

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