【声明2022.02.24】旧優生保護法下の強制不妊手術国賠訴訟・大阪高裁判決を受けて
2022年2月24日
全日本民主医療機関連合会 会 長 増田 剛
2月22日、大阪高裁は、旧優生保護法下で不妊手術を強制された近畿地方に住む夫婦と女性3人が国を相手に国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決において、旧優生保護法が、子どもを産み育てるか否かの意思決定の機会を奪い、「特定の障害がある人などを一律に『不良』であると断定すること自体、非人道的で、個人の尊重という憲法の基本理念に照らし容認できない」と述べ、憲法13条、14条に照らして違憲と明示した上で、不法行為から20年を経過すれば賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に請求を棄却した原審の大阪地裁判決を変更し、国に対して2750万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。
これまで提訴されている訴訟で6件の地裁判決が出されているが、国の賠償責任を認めた判決は初めてである。さらに除斥期間について、「国が障害者に対する差別・偏見を正当化し、助長してきたと」と断罪し、そのために「原告は訴訟を起こすための情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあった」として、その適用は「著しく正義・公平の理念に反」すると従来の機械的な適用を退けた。これらの点で画期的なものとなった今回の大阪高裁の判断を高く評価する。
国に対し、被害者・原告への謝罪と、上告をすることなく本判決を確定させることを強く求める。併せて、国会に対して、現行の一時金支給法について、国の責任の明記、配偶者を対象に追加、制度周知の徹底、補償額の見直し等、必要な改正を速やかに行うことを重ねて要請する。
私たち民医連は、現在各地で闘われている国賠訴訟に対する支援、被害調査への協力、被害を受けた方々への補償の実現と尊厳の回復に向け、全面的に支援を行うことを表明する。
(PDF)
- 記事関連ワード
- 憲法