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声明・見解

声明・見解

【声明2021.05.13】デジタル改革関連法(デジタル監視法)の成立に強く抗議する

2021年5月13日
全日本民主医療機関連合会
会 長   増田 剛

 5月12日、参議院本会議において、デジタル改革関連6法案(デジタル監視法案)が、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決、成立した。個人情報の保護を骨抜きにし、プライバシー権が侵害されるデジタル監視法の成立に強く抗議する。

  1. デジタル監視法案は64本の束ね法案であるにもかかわらず、個人情報の保護・プライバシー権(憲法13条)、知る権利(憲法21条)など、基本的人権を侵害しかねない重大な問題を内包したまま、衆・参両院の審議時間はわずか50数時間の審議で成立した。法案提出後も誤りが多数発覚し、法案がずさんなことは明らかである。
  2. 今回成立したデジタル監視法は、企業による個人情報の利活用を優先し、個人情報の保護を後退させるものである。「自己情報コントロール権」を明記せず、個人情報の保護・プライバシー権(憲法13条)の保障が欠落している欠陥法である。
  3. 公権力が個人情報を収集、検索、利用するには、その範囲を最小限にするとともに、個別に法的権限を明記し要件を厳格に定める法整備が不可欠であるが、政府は、個人情報保護法の要件を限定する野党修正案にすら応じなかった。個人情報の利用・提供が、厳格に制限される保証は全くない。
  4. デジタル監視法は、個人情報保護委員会に監督を委ねているが、政府から独立した機関ではない。プライバシー権の侵害が本当にないか不断に監視する、政府から独立した強い権限を持つ監督・監視機関の設置が必須である。
  5. デジタル監視法は、各省庁と地方自治体の情報システムが共通仕様化され、デジタル庁に一元管理されるが、センシティブ情報の保有の禁止や、個人の同意なく政府や警察が取得できる個人情報の種類や範囲を限定する規定も存在しない。今後、マイナンバーによってあらゆる情報がひもづけられて、市民のセンシティブな情報を含む、あらゆる情報を合法的に監視することを可能としており、プライバシー権の侵害が強く危惧される。
  6. デジタル監視法は、国による個人情報の統一的な規制を行うものである。このような制度は、各公共団体において、住民との合意のもとで構築してきた独自の個人情報保護のあり方を破壊し、公共団体による先進的な個人情報保護制度を後退させかねず、住民自治を侵害するものである。

 以上の通り、デジタル監視法は、重大な人権侵害が危惧されるなど、極めて問題が多い法律である。必要な法改正を要求し、改正がなされないときは、法律の廃止を求めるものである。

以上

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