【声明2021.04.12】デジタル改革関連5法案(デジタル監視法案)の衆議院本会議採決に抗議する
2021年4月12日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛
4月6日、衆議院本会議において、デジタル改革関連5法案(デジタル監視法案)が、自民党、公明党などの賛成多数で採決された。個人情報の保護を骨抜きにし、プライバシー権が侵害されるデジタル監視法案の採決に強く抗議する。
- デジタル監視法案は63本の束ね法案であるにもかかわらず、個人情報の保護・プライバシー権(憲法13条)、知る権利(憲法21条)など、基本的人権を侵害しかねない重大な問題を内包したまま、わずか27時間の審議で採決した。資料の誤りが多数発覚した上に、付帯決議は28項目にも及び、法案が杜撰なことは明らかである。
- 法案は、企業による個人情報の利活用を優先し、個人情報の保護を後退させるものである。法案には、個人情報の保護・プライバシー権(憲法13条)の保障が欠落している。法案には、「自己情報コントロール権」を明記し、個人情報の取得、保有、利用、提供のすべてに情報の主体である個人の同意原則を徹底保障することが必要である。
- 公権力が個人情報を収集、検索、利用するには、その範囲を最小限にするとともに、個別に法的権限を明記し要件を厳格に定める法整備が不可欠である。また、公権力により収集され利用される自己の情報について、市民の知る権利(憲法21条)を保障しなければならない。
- 法案は、個人情報保護委員会に監督を委ねているが、政府から独立した機関ではない。政府から独立した強い権限を持つ個人情報保護のための監督・監視機関の設置が必須である。
- 法案は、各省庁と地方自治体の情報システムが共通仕様化され、デジタル庁に一元管理される。今後、マイナンバーによってあらゆる情報が紐づけられて、市民のセンシティブな情報を含む、あらゆる情報が合法的に監視することを可能とする「監視国家」の体制整備と言え、認められない。
- 法案は、国による個人情報の統一的な規制を行うものである。このような制度は、各公共団体において、住民との合意のもとで構築してきた独自の個人情報保護のあり方を破壊するものであり、言語道断である。
デジタル監視法案は、重大な人権侵害が危惧されるなど、極めて問題が多い法案であり、参議院で徹底的に審議し、廃案を求める。
以上
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