【声明2021.02.08】感染症患者や医療機関等に罰則を設ける改正特別措置法、改正感染症法の成立に抗議する
2021年2月8日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛
2月3日の参院本会議で自民、公明、維新、立憲民主の各党の賛成で改正特別措置法、改正感染症法などが可決・成立した。
この間、日本医学会連合、日本公衆衛生看護学会、全国保健師教育機関協会、日本保健師活動研究会、日本看護系学会協議会、日本弁護士会等、専門家が相次いで罰則の導入に対し、反対の声を上げた。いずれも、罰則の導入により、新型コロナ感染症患者への差別・偏見・中傷を助長させること、感染抑制に無力であるとの懸念が共通して示された。また、人権保護に関わる懸念や、保健所、医療機関の混乱、患者や地域住民との信頼・協力関係への弊害と感染制御活動への支障が指摘されてきた。
反対の声に押されて、与野党の協議で刑事罰の導入は見送られ、行政罰としての過料が導入されることとなったが、そもそも、刑事罰も行政罰も新型コロナ感染抑制に役立たないことに、何ら変わりはないのであって、懸念の声に応えるものでは全くない。
こうした、懸念をまともに受け止めて議論されることなく、立法事実もないままに、拙速に可決・成立をさせたことに怒りを込めて抗議する。
さらに、病床確保の勧告に従わない医療機関名を公表することとしているが、政府の長年にわたる医療政策の失策を省みることなく、感染症の最前線で日夜奮闘する医療機関に対し、減収補填などの要求には応じず、社会的制裁を科すなど断じて許されない。各医療機関は地域医療を守るうえで、それぞれの役割を果たしており、罰則は地域連携の分断と、医療崩壊を助長するものである。
全日本民医連は、今回の改正について、あらためて問題点を国会で審議し、修正を図ることを求めるものである。
以上
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