【声明2020.11.25】75歳以上の医療費窓口負担2割化の検討を即刻中止し、誰もが安心してかかれる医療制度を求める
2020年11月25日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛
厚生労働省は、75歳以上の高齢者の医療費窓口負担の引き上げ案について、11月19日の社会保障審議会・医療保険部会において具体(案)を提示した。
社会保障審議会・保健医療部会で、厚労省が示した5つの案は、新たに2割負担に引き上げられるのは、最小の案でも年収240万円以上(単身世帯)で対象は約200万人に上り、75歳以上の13%となる。最大の案では、年収155万円以上(単身世帯)で対象は、約605万人に上り、75歳以上の37%となる。すでに「現役並み所得」とされた年収383万円以上の層は3割負担となっており、約115万人、75歳以上の約7%が対象となっていることを踏まえれば、最大の案では75歳以上の44%が2割以上の窓口負担となる。
国は「現役世代と負担を公平化する」などと言うが、誰でも年を重ねれば病気にかかりやすくなり、医療をより多く必要とするのは自明の理である。現在の1割負担でも75歳以上の窓口負担は、現役世代と比較して1.7倍にも上り、現役世代との公平化という建前は、成り立たない。
さらに、国は「高額療養費制度により窓口負担は単純に2倍にならない」と言うが、窓口負担の上限月額を定めた高額療養費に毎月該当するのは3%にすぎず、97%は毎月、あるいは何れかの受診月で2倍の窓口負担となる。
すでに医療費の窓口負担を理由に受診を控える人は後を絶たない。75歳以上の医療費窓口負担2割化は、重篤化による更なる医療費の増大を招き、手遅れによる死亡者を増大させることになりかねない。
これ以上の負担増の検討は中止し、高齢者を含めた誰もが経済的な負担の心配なく安心して受診できる医療制度を構築するよう強く求める。
以上
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