【声明2020.10.12】生活保護基準引き下げに抗議し、国の責任で憲法に基づく生活保護制度実施を徹底するよう求める
2020年10月12日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛
2020年10月1日より、生活保護基準の引き下げが実施された。これは2018年4月から続く3回目の引き下げである。
現在、コロナ禍において多くの国民が大幅な収入の減少、雇止めや失業、廃業や倒産による生活困窮に追い込まれており、そうしたことを背景に、この間生活保護申請、新規利用も増加している。暮らしを支えるセーフティネットとしての生活保護制度の役割が一段と重要になっている今、あえて生活保護基準を引き下げることは、すでにぎりぎりの生活をしている利用者に生活苦の追い打ちをかけるとともに、コロナ禍で困窮した国民が、生活保護を利用して生活を維持し、立て直す権利を奪いかねない重大な問題であり、断固抗議する。
このコロナ禍で、地域には仕事がなく収入が絶たれ、受診を我慢して持病が悪化してしまった方、所持金が底をついて食事もとれずに倒れ、救急搬送される方が増加している。しかしそうした方々は、かつて行政窓口に相談に行っても、生活保護の申請すら受け付けてもらえなかった経験をするなど、申請へのためらいが少なくない。国は、国民に対して、生活保護利用は権利であり、必要な時にためらわずに申請できるようにする責任がある。
コロナ禍において、いのちの危機にすらさらされかねない現在、申請手続きの簡素化など、ためらうことなく生活保護を申請できるように、国としてそのための最大限の手立てを行うとともに、自治体が生活保護制度の積極的な活用を広く呼びかけるよう徹底することを求める。「自助・共助」を求めるような今回の引き下げを撤回するとともに、国民が安心して生活保護制度を利用できるよう、生活保護バッシングによるスティグマを国が責任をもって払拭に努めるよう強く求める。
(以上)
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