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声明・見解

声明・見解

【声明2020.05.11】年金を削り、格差を広げる「マクロ経済スライド」の仕組みを放置した年金改定法案の可決に断固抗議する

2020年5月11日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛

 政府は、年金改定法案を新型コロナウイルス感染症の渦中に提出し、5月8日修正の上で自民、公明、維新、「立国社」会派の賛成のもと可決した。
 この法案は、新型コロナウイルス感染症が国民のいのちや暮らしに甚大な被害をもたらしているさなか、与党が審議入りさせたものであり、十分に審議が尽くされているとはいえない。国民がコロナ禍により暗澹たる状況に置かれているさなか、短時間の審議で採決することは、民主主義を蹂躙するものであり断固抗議する。
 そもそも当法案は年金が目減りし、年金が少ない人ほど将来の年金の減額率が大きくなる「マクロ経済スライド」の仕組みを維持している。経済格差を広げる仕組みを持つ公的年金制度は、社会保障制度として重大な欠陥をもつ制度であると言わざるをえない。
 また、本年金改定法案は、目減りしていく年金を就労延長など、国民の自助努力で補うことを求めており、国が本来の社会保障の概念を捻じ曲げ、国の責任を国民に転化していると指摘せざるを得ない。
 さらに、国民年金の平均支給額は5万円であり、年金だけで生活することは到底できないことは明らかである。言うまでもなく、憲法25条では「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を全ての国民に保障することを国に求めており、この立場にたった制度検討を求めるものである。
 私たち全日本民医連は、マクロ経済スライドの廃止を求めるとともに、目減りせず、誰もが安心して生活できる最低保証年金制度の実現を求める。
 政府はコロナ禍から国民のいのちと健康、くらしを守るために全力を尽くすことに集中するべきである。コロナ禍に無関係な一切の法案の検討・審議を中止することを強く求めるものである。

以上

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