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声明・見解

声明・見解

【声明2017.12.13】生活保護基準の引き下げに断固抗議し、権利としての生活保護制度の充実を求めます

2017年12月13日
全日本民主医療機関連合会
ソーシャルワーカー委員会
委員長 長嶋 理恵

 私たちは全日本民主医療機関連合会(以下、民医連と略す)に所属する医療機関、介護福祉事業所で働くソーシャルワーカー(以下SWと略す)です。厚生労働省による2018年度の生活保護基準引き下げの検討は、生活保護受給者と低所得者層の生活実態を全く無視したものです。国の責任放棄ともいえる国民の最低生活保障基準の引き下げに対し、私たち民医連SWは強く反対します。

 現在、厚生労働省は2018年度の生活保護基準見直しに向けて、生活保護基準部会での協議を行っています。食費や光熱費にあたる生活扶助費の引き下げ案を提示し、特に大都市部では減額となる世帯が多く、新聞報道によると削減幅は夫婦子2人世帯で最大13.7%になると言われています。また、母子加算に対する引き下げについては、平均2割減額となる可能性があります。子どものいる世帯や高齢者世帯にとっては、これまでにない大幅な保護費の削減によって、さらに生活が追い詰められることになります。
 生活保護基準は、いうまでもなく国民の最低生活保障基準であり、国の国民に対する生活保障責任の基準であるナショナルミニマムでもあります。生活保護基準の引き下げは、生活保護受給者の「健康で文化的な最低限度の生活」水準を切り下げるだけでなく、最低賃金や住民税非課税基準、就学援助、高額療養費制度、国民健康保険の一部負担金・保険料の減免基準、介護保険の利用料・保険料の減免基準、障害者総合支援法による利用料の減額基準、生活福祉資金など、多くの国民の社会保障制度にも影響を及ぼします。
 私たち民医連SWは、生活保護基準で暮らす患者や利用者が、生活費を切り詰めながら日々を過ごす生活実態を目の当たりにしています。これ以上の生活保護基準の引き下げは、人として生きることを脅かすことになりかねないと認識しています。
 生活保護予算が国や地方自治体の財政を圧迫しているという理由で、毎年のように生活保護基準の引き下げが議論され、これまでも2004年の老齢加算の段階的廃止、2013年の生活扶助基準の段階的削減、2015年の住宅扶助や冬季加算の削減などが行われてきました。今本当に必要なのは、生活保護予算の削減ではなく、すべての人に権利としての社会保障を確立させ、生活保護基準以上の生活が保障されるよう制度改善すべきであることはいうまでもありません。
 私たち民医連SWは、患者、利用者の人権を守る立場から、生活保護基準引き下げに断固反対し、日本国憲法で保障された権利としての生活保護制度を守り、充実させていくことを強く求めます。

以上

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