【声明2017.12.12】生活保護受給者のいのちと暮らしを脅かし、さらなる格差と貧困を拡大する 生活扶助基準引き下げに反対し強く抗議する
2017年12月12日
全日本民主医療機関連合会
会長 藤末 衛
現在、厚労省の社会保障制度審議会生活保護基準部会で、5年に一度の生活扶助基準の見直しが検討されており、2018年度中にこれまでにない大幅な削減実施がねらわれている。特に高齢世帯、子どものいる世帯の大幅引き下げにつながる見直しであると同時に、生活保護受給者のみならず、国民生活全体の生活水準の引き下げにもつながる生活扶助基準の引き下げに断固反対し、強く抗議する。
すでに2004年から老齢加算が段階的に廃止され、2013年から生活扶助基準を引き下げて3年間で総額670億円の削減、2015年には住宅扶助基準と冬季加算を削減するなど、生活保護受給者の生活実態を無視して追い詰めるような削減が続けられてきた。
厚労省が12月8日の部会で示した案は、国民の平均的な消費水準と言われる第3五分位ではなく、一番低い水準の第1十分位の消費水準にあわせて生活保護基準を引き下げるものである。安倍政権による雇用破壊が進み、さまざまな社会保障制度の給付削減や自己負担増が実施される中で、生活保護受給世帯以外の低所得世帯もいっそう厳しい生活を強いられている。
しかも日本の生活保護捕捉率は2割以下で、生活保護水準以下の生活を余儀なくされている人が多数存在する。そうした低所得層の消費水準に合わせた生活扶助基準引き下げは、さらなる貧困の拡大と生活破壊を引き起こすことになる。
生活保護基準は住民税非課税限度額や就学援助など他の制度にも連動しており、その大幅引き下げは低所得者の負担増など、国民生活全般に多大な影響を及ぼすものである。
全日本民医連は、生活扶助基準の大幅な引き上げで最低生活基準の底上げをはかり、憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障することを求め、広範な人々とともにたたかい奮闘する決意である
以上
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