【声明2015.04.24】衆議院厚生労働委員会での「医療保険制度改革関連法案」の強行採決に断固抗議し、廃案を求める
2015年4月24日
全日本民主医療機関連合会
会長 藤末 衛
4月24日、衆議院厚生労働委員会において「医療保険制度改革関連法案」(「持続可能な医療保険制度等を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」)が強行採決された。参考人質疑をのぞくと、わずか3日間の委員会審議で採決する暴挙に対して断固抗議し、廃案を求める。
そもそもこの法案は国民健康保険法、健康保険法、高齢者医療確保法などが一括して提案されているが、「国保の都道府県化」や「患者申出療養制度」、その他入院給食の自己負担増や紹介状のない大病院の受診者への定額負担導入、後期高齢者医療の保険料の「特例軽減」廃止など、どれをとってもひとつひとつ十分な議論を尽くし、広く国民に中身を知らせなければいけない内容である。
また、委員会審議の中で、患者申出療養制度の安全性や有効性の問題、高過ぎる国保料の問題などについて懸念が出されたが、それに対する政府の答弁は「詳細はこれから検討する」など、十分な審議も無いまま、国民不在で数を頼んで押し通すような議会運営や国政のあり方は、議会制民主主義の点からも断じて許されるものではない。
全日本民医連が実施した「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」には、「会社退職後に高過ぎる国保料負担ができず無保険で受診できず、がんの手遅れ死亡」「保険料を滞納し保険証窓口留め置き、医療費負担が心配で手遅れ死亡」など、事実上無保険で受診できずに亡くなった事例が全国から寄せられた。「医療保険制度改革関連法案」ではこうした問題の解決にはならず、むしろ患者負担増等によって、いっそう医療にかかれない患者が生まれ、手遅れ死亡が増加しかねない。
患者、国民には医療にかかる多大な負担増を強い、医療の保険給付の抑制をすすめ、国民皆保険制度を根本から解体し、患者に安全性・有効性が未確立な医療の自己責任を負わせる制度は廃案にすべきである。
参議院では、地方公聴会や参考人質疑で徹底して現場の実態や意見を反映させた審議を行い、その内容を国民に知らせるべきである。全日本民医連は憲法25条に基づき、人権としての社会保障を実現する医療保険制度の構築を強く求めるとともに、国民皆保険制度を解体する「医療保険制度改革関連法案」の廃案を求める。
以上
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