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声明・見解

声明・見解

【声明2014.08.31】精神疾患への差別・偏見を助長し、医師と患者の信頼関係を破壊する特定秘密保護法における適性評価制度の廃止を求める。その実施には一切協力しない

2014年8月31日
全日本民医連精神医療委員会
委員長 松浦健伸

 平成25年12月6日特定秘密保護法が国会で成立した。憲法違反の本法に対して、即日全日 本民医連会長名で「国民世論を踏み潰し、憲法を根底から破壊する特定機密保護法案の強行採決に断固抗議し、その撤回のために奮闘する」声明が出された。そ こに示されたように、本法は、「主権在民」「基本的人権」「平和主義」の日本国憲法の三原則に明白に違反し、法自体が廃止されるべきものである。さらに本 法には医療関係者、とりわけ精神医療・福祉に携わるものにとって、大いに懸念される内容が含まれている。

 すなわち特定秘密を取り扱う者に対する適性評価の実施の規定である。行政の長が、特定秘密 を扱う者に関して、「薬物の濫用及び影響に関する事項」「精神疾患に関する事項」「飲酒についての節度に関する事項」など7項目について調査し、その把握 のために医療機関等に「照会して必要な事項の報告を求めることができる」としている。これについて本法所管の内閣官房の担当官は国会答弁で「照会を受けた 団体は回答義務がある」と述べ、法には義務規定はないが、事実上回答を強制してくる可能性がある。

 適性評価制度の考えには、精神疾患をもつものは秘密を守る能力にかける、責任ある業務につ けないという偏見があり、差別を助長する。さらに治療のために、信頼関係をもとに話された個人の生活や考えに関する情報を第三者に提供することは、治療関 係を根本的に破壊することになる。職場での関係上断ることの困難な、本人の適性評価の同意は自発的な同意とは言えず無効である。さらに診療で話す秘密が外 にもれるとすれば、受診自体控えることになるのも明白である。またその個人が秘密をもらす可能性など、精神科医は医学的な見地からは判断困難であり、適性 評価そのものが無意味で当局には個人の秘密そのものを探りたい意図があるのでないかとさえ思われる。

 すでに適性評価制度に関して日本精神神経学会が平成26年3月15日反対の見解をだし、さ らに8月22日付で適性評価に関する運用基準案に対して、適性評価廃止を求める意見を表明している。学会の一連の見解に賛同する。患者の秘密をもらすこと は、たとえそこに政府の脅迫があっても、第二次大戦後のジュネーブ宣言に明白に違反する。我々医療従事者とりわけ精神医療関係者は、ナチス・ドイツに加担 し戦争犯罪を行ったドイツ精神医療など歴史の教訓を生かし、過ちを絶対に繰り返してはならない。我々は、学会はじめ本法及び本制度に反対するすべての医療 関係者、国民と共同し制度の撤回を求め、適性評価に一切協力しない。そのために奮闘する決意である。

以上

(賛同事業所一覧はこちら)

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