【声明2014.12.26】原発維持・推進の方向へ暴走し、核燃料サイクル推進につながる『原子力小委員会』の『中間整理案』に抗議し、撤回を求める
2014年12月26日
全日本民医連精神医療委員会
会 長 藤末 衛
経済産業省の総合資源エネルギー調査会「原子力小委員会」が12月24日、国の原子力政策の方向性について「中間整理案」をまとめ、大筋了承した。
その内容は、政府が4月11日に閣議決定した「エネルギー基本計画」を踏襲し、原発維持・推進の方針が列挙された。姑息にも原発を再稼働した自治体への 「電源立地地域対策交付金」を増やし、一方停止したままの自治体への配分を減らす方針を固め原発再稼働の推進を狙っている。また、古い原発を廃炉にする場 合は「廃炉に見合う供給能力の取り扱いを含めた将来像を明らかにしなければならない」と原発の建て替えの必要性を示唆したり、核燃料サイクル事業の推進を 指摘するものとなっている。
この「中間整理案」は、福島の原発事故への反省もなく、原発事故で苦しんでいる被災者を切り捨て、「原発ゼロ」求める多くの国民の声を無視して原発維 持・推進の方向へ暴走するもので断じて認めるわけにはいかない。私たち全日本民医連は「中間整理案」に抗議するとともに、その撤回を強く求める。
福島第一原発の現状は収束どころか、放射能汚染水が増え続け、制御できない非常事態が続い ている。高い放射能のため1~3号機ではまだ原子炉に近づくことさえできない。政府が今やるべきことは、国内外の英知を結集し、長期で困難な事業にとりく む体制をただちにつくり、汚染水対策にあたることであり、原発事故の原因を究明することである。原発事故の原因の究明もされておらず、事故収束の見通しも 立っていない状況での原発再稼働など論外である。
「核燃料サイクル」は、六ヶ所村の再処理工場ではトラブルつづきで完成のめども立っていな い。高速増殖炉「もんじゅ」も重大な事故がつづき停止したままである。使用済み核燃料を安全に「再処理」する方法も、「再処理」した後の高レベル・低レベ ルの放射性廃棄物を「最終処分」する方法も、人類は持っていない。政府は「核燃料サイクル」計画から直ちに撤退すべきである。
現在、日本のすべての原発は停止し、一基も稼働しておらず、それでも国民生活も日本経済も 支障はない。日本は、環境省も認めている自然エネルギーの宝庫である。いまこそ政府は原発からの撤退を決断して、国内のすべての原発を速やかに廃炉にし、 エネルギー政策を再生可能エネルギー中心に転換すべきである。
以上