【声明2014.07.17】周辺住民の生命より再稼働を優先する川内原発「審査書案」の撤回を強く求める
2014年7月17日
全日本民主医療機関連合会
会長 藤末 衛
7月16日、原子力規制委員会は九州電力川内原発1、2号機について、原発の「新規制基準」を満たしているとする「審査書案」を了承した。同案 は、福島第一原発事故の教訓が反映されていない「新規制基準」にもとづき作成され、周辺住民の避難計画や火山対策への対応もなく、住民の生命より再稼働を 優先するもので、到底容認できない。撤回を強く求める。
原発事故から3年4カ月が経過したが、福島第一原発ではいまだに放射線量が高く、原子炉に 近づくこともできず、事故原因も究明できていない。さらに放射能の汚染水の流入・発生がつづき、その解決の見通しもたたず深刻な状況が進行している。まさ に福島第一原発は、事故の収束どころではなく、事故のまっただ中である。いまだに13万余人が苦しい避難生活を余儀なくされ、故郷へ戻れない状況である。 このような状況の中で、原発再稼働を求める電力会社および安倍政権の意向に沿って、川内原発の再稼働を容認することは論外である。
川内原発は、大きなカルデラ火山に囲まれた立地にあり、大噴火の可能性も指摘されている が、まともな検討も対策も取られていない。さらに事故が起きた時の避難計画は審査の対象とはされていない。10~30kmの要援護者の避難計画については 策定の見通しすら立っていない。アメリカでは避難計画のない原発の稼働は認められていない。このように、再稼働ありきの「審査書案」は、住民の生命より原 発再稼働を優先するものであり、断じて認められない。
世論調査でも「再稼働した場合、重大事故が起きる可能性がある」と答えている人は86%にのぼる。多くの国民、地元が反対している再稼働容認の姿勢は、 重大な世論への挑戦である。さらに憲法をよりどころに「原発を再稼働することは人格権を侵害する」とした福井地裁判決への挑戦でもある。
安全な原発は一つもなく、世界有数の地震・津波国である日本ではなおさら危険である。いまこそ安倍政権は、原子力発電からの撤退を決断し、国内全ての原 発を廃止しエネルギー政策を再生可能エネルギー中心に転換すべきである。
全日本民医連は、原発事故被害者に寄り添い、引き続き幅広い人びとと連帯し、原発再稼働反対、原発ゼロの日本をつくるため全力を尽くすものである。
以上
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