【声明2014.06.06】論拠のない負担増を強いる医療・介護総合法案の廃案を求める
2014年6月6日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛
田村憲久厚生労働大臣は、6月5日の参議院厚生労働委員会において「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に 関する法律案(以下、医療・介護総合法案)」に盛り込まれた介護保険利用料を1割から2割負担に引き上げる論拠とした「負担増の対象者は年60万円の余裕 がある」という部分は誤りであり、審議中の法案説明を撤回することを認めた。
厚生労働省は、これを唯一の論拠として、介護保険利用料を2割に引き上げても「負担に耐え 得る」と説明してきた。負担増モデル世帯とされている可処分所得307万の世帯の平均消費支出が247万円であり、その差が60万円あるからというのがそ の理由である。しかし、審議の中で「消費支出247万円」層の平均可処分所得が実際は197万円にすぎないことが明らかになり、田村憲久厚生労働大臣は 「60万円の余裕があるという説明は撤回する」と答弁せざるを得ない事態に追い込まれた。この2割負担の論拠を撤回すると、社会保障審議会や国会で繰り返 し議論をしてきた内容が全て振り出しに戻ることは明らかである。
この法案は、はじめから無関係の法案の説明文が入った文書を全参議院議員に配布して参議院での審議入りが10日以上も遅れた上、今度は法案の論拠が間違っており撤回するなど、前代未聞の大失態が続出している。このような法案はただちに廃案にすべきである。
全日本民医連は憲法25条に基づき、人権としての社会保障を実現する医療・介護提供体制の構築を国に強く求めると共に、その実現のために共同を広げ、医療・介護総合法案の廃案を求めるものである。