【声明2014.04.03】医療・介護一体改悪法案の衆議院審議入りに断固抗議し、徹底審議と廃案を求める
2014年4月3日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛
政府は4月1日に消費税増税と併せて「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(以下、医療・介 護一体改悪法案)」を衆議院本会議で審議入りした。この法案は安上がりな医療・介護の提供体制をつくり、国民に大幅な負担増を押し付け、必要な治療やサー ビスを切り捨てる法案であり、全日本民医連はこの法案の審議入りに断固抗議する。
第1に、医療分野の問題は、病床を大幅に削減することである。都道府県に対し医療提供体制 を調整する権限を与えられ、医療機関は都道府県に医療機能を病棟ごとに報告しなければならない。そして、都道府県が「地域医療ビジョン計画」を策定して病 床機能ごとに病床数を定め、従わない病院には厳しいペナルティーを課すという内容で有り、2025年までに43万床を削減し、患者の追い出しを進めるよう な内容である。
第2に、介護分野の問題は、介護保険制度始まって以来の大改悪がおこなわれようとしていることである。具体的には1)予防給付対象の要支援者の訪問介護 と通所介護を給付体系から切り離し、市町村が実施する事業に丸投げする。2)特別養護老人ホームの入所対象者を原則要介護3以上に限定化する。3)一定以 上所得者(年金収入で単身280万以上)の利用者負担を1割から2割負担に引き上げる。4)低所得の施設入所者に対する居住費・食費負担軽減制度(補足給 付)の要件を見直し、資産要件を新設するなどを盛り込んだことである。
これらの改悪が行われると病院から早期退院させられ介護施設にも入れず、必要なサービスを受けることが出来ない患者・利用者が急増し、地域医療の崩壊を 加速させ、特別養護老人ホームの待機者52万人をさらに増やすことにもつながる。
第3に、この法案は医療法や介護保険法など、19本にも及ぶ法改定が盛り込まれている。本来、それぞれ審議しなければいけない内容を強引なこじつけで抱 き合わせにする手法は、国会を軽視し審議を形骸化させるもので断じて許されるものではない。
今回の法案の審議入りは、重大な国民のいのちと健康への挑戦である。全日本民医連は憲法 25条に基づき、人権としての社会保障を実現する医療・介護提供体制の構築を国に強く求めると共に、その実現のために共同を広げ、引き続き運動を強める決 意である。医療・介護一体改悪法案の衆議院審議入りに断固抗議し、徹底審議と廃案を求める。