【声明2013.03.13】医療、農業、食の安全を壊し、日本の国のあり方を大きく変えるTPP交渉参加表明を行わないことを強く求めます
2013年3月13日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛
総理は、さきの日米首脳会談で、「TPP参加にあたって、『聖域なき関税撤廃』が前提ではないとの認識に立った」とし、今月15日にもTPP交渉参加を表明すると報道されています。
そもそも自民党は、先の総選挙で、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限りTPPには反対する、国益を守ると公約しました。しかし、日米共同声明をどう読 んでも、関税と非関税障壁の撤廃がTPPの原則であることに変わりはなく、自民党内でさえ反対の声が高まっています。また、国民の中でもTPPに反対する 声が全国各地であがっています。
国会の議論でTPP交渉に遅れて参加する国は不利・不当な条件をのませられることが明らか になっています。先行交渉9カ国が合意した条文はすべて受け入れる、将来ある特定分野について9カ国が合意した場合、拒否権は有さずその合意に従う、交渉 を打ち切る権利はない、などです。カナダとメキシコはこれらの条件を「念書」で承諾し、昨年交渉参加を認められたとのことです。
直近のシンガポールで行われた交渉会合によれば、アメリカの貿易担当者は、日本が仮にこれから交渉に参加した場合に、すでに確定した内容について再交渉 も文言修正の認めないうえ、あらたな提案もさせないと各国の交渉担当者に説明している、と報道されています。「聖域が守られる」「交渉次第で国益が守られ る」などということは全くの幻想です。
TPPは自由貿易を妨げる関税や非関税障壁を例外なく撤廃し、各国の法律や制度ですら、企 業にとって不都合であればISD条項により無効としうる、弱肉強食の経済協定です。国民生活のあらゆる分野に重大な影響を及ぼし、国のありかたを大きく変 えてしまいます。しかも交渉は秘密に行われ国民には内容が知らされず、いったん参加すれば離脱はできないという大変危険な協定です。
アメリカは医療の分野で1990年代から日本の市場解放を求めてきています。TPP参加に よってアメリカや多国籍大企業から規制緩和の圧力が高まることは明白です。医薬品や医療機器価格の規制緩和、混合診療の解禁が拡大され、医療に市場原理が 導入されます。医療費が高騰し社会保険制度が危機に瀕します。さらにISD条項に基づいた訴訟がおこされれば、国民皆保険制度の理念は変質し、制度は解体 させられてしまいます。保険料を徴収する枠組みだけの「保険制度」が残ったとしても、それは国民皆保険制度を守ることにはなりません。
いまでも、高い保険料・自己負担によって医療にかかれない人たちが増えています。私たちは誰もが安心して医療を受けられるために、日本の医療の非営利原 則、公益性、そして国民皆保険制度を守るために、TPP参加に断固反対します。
総選挙でTPP参加反対を掲げて当選した自民党議員は200名余にのぼります。いま総理がTPP参加を表明することは明らかな公約違反であり、国民に対する重大な裏切りです。
医療、農業、食の安全を壊し、日本の国のあり方を大きく変えるTPP交渉参加の表明を行わないことを強く求めます。
以上
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