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声明・見解

声明・見解

【声明2013.02.18】福島県民健康管理調査における甲状腺がん発見の報道を受けて

2013年2月18日
全日本民主医療機関連合会
会長 藤末 衛

 福島県が行っている県民健康管理調査の甲状腺エコー検査で新たに2人が甲状腺がんと診断された。これにより、県民健康管理調査で甲状腺がんと確定された方は約4万人の検診受診者のうち3名となり、その他に悪性が強く疑われる方が7名とのことである。 

 これまでの知見では、小児の甲状腺がんの発生率は「100万人に1人」といわれていた。大規模なエコー検診は前例がなく、発生率とスクリーニング発見率を単純に比較することはできないが、今回の県民健康管理調査の結果は注目すべきものと考える。

 原発事故による放射能汚染が影響しているかどうか、現時点で断定することはできないが、これだけのスクリーニング発見率である以上、放射能が影響している可能性を十分に念頭において今後の検診や診療に生かされるべきと考える。

 チェルノブイリの経験では4~5年後に甲状腺がんが発生していることから、今回発見されたがんは原発事故以前に発症していた可能性がある、との説明もあ るが、そもそもチェルノブイリでは大規模な検診が行われたのは事故から4~5年後であった。もっと早くから発症していた可能性は否定できない。

 福島第一原発事故は、我が国がこれまで経験したことのない出来事であり、放射能汚染の健康影響は、いまだ科学的に解明されていないことが多い。放射能の影響を決して軽視することなく、注意深く住民の健康管理をすすめていかなければならない。

 甲状腺がんは、早期に発見し治療すれば予後が良好な例が多く、低年齢のうちに発見することが求められる。今後、県民健康管理調査の対象である40万人全 員の検査をやりきること、経年的な検査をきちんと行うことが重要である。そして福島県はもちろん、ホットスポットといわれる地域、放射性ヨウ素が多く飛散 したと推定される地域に住むすべての子どもたちの甲状腺エコー検査を実施することが必要である。

(PDF版)