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声明・見解

声明・見解

【声明2013.02.15】看護教育を超えた医行為を一般看護師にも実施させる制度の創設に反対する

2013年2月15日
第40期全日本民主医療機関連合会第13回理事会

 2年9ヶ月にも及ぶ「特定看護師」をめぐる議論は、修正に次ぐ修正を重ねた結果、難易度も高く、判断も難しい医行為(「特定行為」)を医師の具体的指示のもとであれば一般看護師でも実施できるという方針に方向転換した。
 2011年11月11日の骨子案では「特定看護師」という名称独占、業務独占はしない方向性をとり、資格ではなく能力を国が認証する制度「看護師特定能 力認証制度」に修正された。さらに、2012年12月、「研修を国が義務づける制度」に替わり、看護師経験年数は要件からなくなった。チーム医療推進会議 は今年3月までに報告書をまとめ、その後、制度を盛り込んだ保健師助産師看護師法の改正案が提出される予定になっている。

 これまで私たちは、(1)この制度は本来医師が行わねばならない医行為を、チーム医療の名の下に「特定看護師(仮称)」に行わせることで、医師不足を安 易に乗り切ろうとするものであり、医師不足問題の根本解決にならないばかりか、閣議決定した医師増員の方針をもあいまいにすることが懸念されること。 (2)医療現場では、医師の指示のもとに、保助看法上の「診療の補助」の範疇で少なくない医行為が看護業務として既に実施されており、どこまでを『診療の 補助』とするのか、看護師が実施可能な範囲を明らかにし、法的問題、医療の安全性、信頼性が充分担保されるよう、医療関係者の議論を汲み尽くすことこそ、 国に求められる点であること。(3)また、新たな資格の創設により、看護職の間での階層化、複雑化を招き、臨床現場を混乱させるばかりか看護教育にも大き な影響を与えかねないことを危惧する。として制度の創設に反対する立場を示してきた。

 加えて今般の「看護師特定能力認証制度」の最大の問題点は、医師の具体的指示があれば認証の有無にかかわらず一般の看護師にも可能としている点である。 厚労省の言う「特定行為」は身体への侵襲性の高い行為である。患者はもとより実施する看護師の安心・安全についても考慮されているのか疑問であり、患者・ 国民、現場の医師や看護師、医療関係者に制度の内容が周知されているとは到底思えない。患者・国民が望んでいるのは安全で安心な医療と看護である。早急に この複雑な制度の情報公開を行い、国民的議論を行うべきである。

 全日本民医連は、改めて、これまで以上に危険性の高い医行為を公的に看護業務として認めるこの制度の創設に反対する。同時に現場における医師、看護師の 疲弊を一日でも早く解消し、医師、看護師等医療従事者の増員、労働条件の改善を国の責任で行い、憲法25条に基づいた権利としての社会保障の充実に向けた 政策転換を行うよう政府・厚労省に強く求めるものである。

以上

(PDF版)