【声明2012.08.01】政府は原子力規制委員会の人事案を撤回し、委員選考をやり直すよう強く求める
2012年8月1日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛
7月26日、政府は原子力規制を一元的に担う新組織「原子力規制委員会」の人事案を衆参両 院に提示した。その顔ぶれを見ると、過去の言動や経歴を見るとこの間、政府の原発政策を推進し、福島第一原発事故を引き起こしたいわゆる「原子力ムラ」の 関係者が多くを占め、到底受け入れられるものではない。また選考過程も密室で決まっており、今回の人事案は撤回し、委員の選考をやり直すよう強く求める。
とくに委員長に推薦されている田中俊一氏は、日本原子力学会会長や原子力委員会の委員長代理を歴任するなど、原発推進側にいた人物である。原子力損害賠 償紛争委員会では、福島第一原発事故の自主避難者に賠償を認める方針に異を唱え、被災者から批判を浴びた。さらに100ミリシーベルト未満は健康に影響 はないと公然と発言し、20ミリシーベルト未満の地域は帰宅しても大丈夫だと発言し多くの批判を浴びた。また、田中氏を含む委員候補者の5人中4人が、 原発関連団体や企業から報酬を受けていたことが報道されている。福島の悲劇を生んだ遠因として国会の事故調査委員会報告が「規制する側が、規制される側の 虜になった」と強く指摘した愚行を全く反省していない。
委員会は、国家行政組織法第三条にもとづく高い独立性を付与されている。したがって、委員たちが本当に独立した人材であるかどうかが決定的に重要なポイ ントである。規制委員会は、原発再稼働を認める現行の暫定基準を見直し、新たな基準づくりを担う。このままでは。世界最大の環境汚染事故と言われる福島第 一原発事故の教訓が全く生かされず、規制委員会が「原子力ムラ」に乗っ取られ、全国の原発の再稼働がなし崩し的すすめられ、再び原発事故を引き起こしかね ない。
全日本民医連は、福島第一原発事故と同じ悲劇を繰り返さないため、国会は「原子力ムラ」と全く関係のない独立した委員を選出して、日本のエネルギー政策 を脱原発の方向に転換するため、公正・中立・公開の原則に立って委員の選考をやり直すことを強く求める。
以上
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