【声明2012.06.26】消費税増税修正法案と社会保障制度改革推進法案の衆議院での強行採決という暴挙に断固抗議し、参議院での徹底審議で廃案をもとめる
2012年6月26日
全日本民主医療機関連合会
会長 藤末 衛
6月26日、消費税増税法案・社会保障制度改革推進法案が衆議院本会議で強行採決されまし た。民・自・公3党の密室談合で、会期末ぎりぎりに突然、新たな法案として出されたもので、それ自体許すことができません。その上、国民の約6割が消費税 増税に反対している中、法案の内容すら知らせず、まともな審議も一切ないまま強行採決されたことは、議会制民主主義の最低限のルールさえ踏みにじる暴挙で あり、言語道断です。
「消費税増税修正法案」は、当初わずかばかり盛り込まれていた所得税の最高税率引き上げなどの高額所得者対策すら削られ、さらに増税時の低所得者対策、中小企業対策もなく、文字通り国民に消費税増税のみをおしつける内容になっています。
同時に採決された「社会保障制度改革推進法案」は、「安定した財源を確保するために消費税を目的税とする」、「受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会 保障制度にする(個人の負担に見合った給付にする)」、「自助、共助を原則に、家族相互の助け合いを基本にする」など、社会保障の財源を消費税におき、 「自助」「共助」を明文化し、本人、家族の責任を基本にしています。まさに自己責任で失業、病気、障害、老後の備えをしろというもので、憲法25条の精神 に背き、社会保障の考え方を根本から否定する憲法違反の法案です。
社会保障の充実は国の重要な責務です。財源も国家財政全体の中で責任をもって捻出する必要があるにもかかわらず、社会保障を充実させるためには消費税増税しかないという二者択一を国民に迫るもので、事実上社会保障の充実に歯止めをかける仕組みです。
かつて小泉政権下では、「骨太の方針(経済財政運営と構造改革に関する基本方針)」によっ て毎年2200億円の社会保障費が削減され、国民生活は大打撃を受け医療崩壊が一気に進みました。自殺者は14年連続して年間3万人を超え、生活保護受給 者はついに210万人を超えました。高すぎる国保料、医療費窓口負担によって医療にかかれない人々が増えています。私たち全日本民医連の調査では、国保証 がありながら手遅れで死亡したとみられる方がこの3年間で200人にものぼります。これは氷山の一角です。
社会保障を拡充するために抜本的な対策が求められているにも関わらず、今回の法案は、国や 自治体の責任による社会保障制度を解体し、社会保障に営利市場化への道をひらくものです。アメリカと財界の圧力に屈し、TPP参加への地ならしが行われて いるとしか考えられません。この間の社会保障制度改悪の中で見え隠れしてきた、公的責任を放棄する狙いがはっきりと明文化されたもので、断じて許すことは 出来ません。
国民の怒りはますます広がっています。衆議院では強行採決されましたが、参議院で徹底的に審議し、この法案の重大な危険性を明らかにし、廃案・撤回させなければなりません。全日本民医連はそのために全力で奮闘する決意です。