【声明2012.06.12】野田首相は、国民のいのちと生活を危険にさらす「大飯原発再稼働」方針をただちに撤回せよ
2012年6月12日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛
野田首相は6月8日の記者会見で、「原発を止めたままでは日本の社会はたちゆかない」「計画停電になればいのちの危険にさらされる人もでる。日常生活や経済活動は大きく混乱する」などを理由に、大飯原発を再稼働すべきとの判断を表明しました。
しかし、この判断こそ、電力会社や原発関連大企業の利益を優先し、国民のいのちと生活を危険にさらすもので、断じて許されるものではありません。
首相は、「すべての電源が失われる事態でも炉心溶融に至らないと確認」「福島をおそったよ うな地震、津波が起きても事故を防止できる」と発言しましたが、福島第一原発事故は収束しておらず、事故の原因は未だに解明されていません。その上、大飯 原発の安全性の評価に根拠は一切なく、なんら具体的対策は講じられていません。
関西電力の主張する「15%の電力不足」についても、多くの専門家から根拠がないと指摘さ れています。野田政権が進める政策によって国民の生命を脅かしておきながら、「計画停電になれば国民生活は守れない」などの発言は言語道断です。そもそも これから再稼働の準備を始めても、夏場の電力供給に間に合わない公算が大きいといわれています。多くの国民が原発の安全性に不安を抱えている中で、客観的 な理由を何一つ示すことなく「再稼働」を強行することに、8割の国民が反対しています。
また、首相が夏場限定の再稼働を否定し、「原発を重要な電源として今後も運転を続ける」としたことは、国民世論への挑戦と言わなければなりません。
福島第一原発事故によって、いまだに10数万人が故郷を追われ、避難生活を強いられていま す。賠償も除染も不十分なまま、全く先の見通しがたっていません。今回の大震災・原発事故を受けて、ドイツやイタリアなどは脱原発へと政策を大転換しまし た。当事者の日本が、これだけ甚大な被害を経験しながら拙速な再稼働を認め、原発依存を続けることは国際的にも批判を浴びるでしょう。
首相は再稼働を認める判断をただちに撤回し、福島第一原発事故の検証を急ぐとともに、国民の世論に耳を傾け、いまこそ原発依存から脱却し、エネルギー政策の転換方針を明確にするべきです。
私たち全日本民医連は、大飯原発の再稼働に断固反対し、再稼働させないとりくみに全力をあげます。
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