【声明2012.05.07】一般用医薬品のネット販売は国民の利益にならない
2012年5月7日
全日本民主医療機関連合会
会長 藤末 衛
4月26日に一般用医薬品ネット販売について、東京地裁の判決を覆し、東京高裁は、一般用医薬品のネット販売をみとめる判決を出した。全日本民医連は、国民のいのちと安全を守る立場から今回の判決に抗議する。
今回の判決理由は、一般用医薬品について国民のいのちと安全を守る観点が欠落したまま、一般用医薬品のネット販売に対する省令の規制があたかも国民の権 利を制限することとして一般用医薬品の第1類・第2類すべてのネット販売を認める判決となっている。
そもそも一般用医薬品は、薬事法に基づき、医薬品の専門家である薬剤師(一般用医薬品すべて)登録販売者(2類・3類)の管理・指導のもとで対面販売さ れることで医薬品の適切な安全情報の提供と購入者の使用の是非も含めた適切な使用情報に基づき販売されるものである。厚労省検討会委員からも「添付文書だ けで副作用を正しく理解できるとも言えない」との懸念が出されている。東京高裁の控訴審判決は、国民の健康よりも大資本の利益を優先する、政府による新自 由主義的構造改革「規制緩和」路線に乗ったものと批判せざるを得ない。
東京地裁判決でも、「(1)一般用医薬品の副作用による健康被害は、死亡事例なども含めて重大な結果を伴う(2)消費者一般に一般用医薬品の副作用の危 険性について意識・認識が十分でない(3)消費者の間には購入に際して薬剤師からの情報提供を求めることが多く、添付文書などの単なる書面等の記載による のでは内容・趣旨が伝わらない、また、販売時での購入者の年齢・体格、その他身体情報など対面販売で消費者の属性・状態等を把握するなど購入上の利便性よ りも使用上の安全性の確保を優先させる」ことからネット販売を棄却していることは妥当な判断である。
全日本民医連は、改めて今回の東京高裁の不当判決に対して抗議するとともに、薬事法に沿った医薬品の安全性を確保する上で、一般用医薬品のネット販売が 容認できないことを強く訴える。
- 記事関連ワード
- 副作用