【声明2012.03.08】高齢者の生活を直撃する後期高齢者医療保険料の引き上げ、滞納を理由とした財産の差押えの中止を求める。 ~野田内閣は、年齢で差別し、耐え難い負担を強要する後期高齢者医療制度を即時廃止せよ~
2012年3月8日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛
3月2日付毎日新聞は、本年4月からの後期高齢者医療制度の保険料が軒並み上昇すると報道 した。これによると13.0%増の徳島県、10.7%増の宮崎県をはじめ9.0%以上の引き上げが10県にも上り、42都道府県で引き上げを計画してい る。また、東京都、神奈川県では、保険料の平均額が年額9万円を超えると試算している。これらの引き上げは、2010年度の前回改定時に保険料の伸び幅を 抑えたあおりを受ける大幅な引き上げであり、高齢者の人口と医療費の増加によって保険料が際限なく上がる後期高齢者医療制度の仕組みから来ているものであ る。
この保険料の引き上げに加え、4月からは物価スライドによる年金額の引き下げや介護保険料の引き上げが強行されようとしており、高齢者の生活を直撃する。
加えて、重大なことは保険料が払えず滞納し、預金や年金などが差し押さえを受けた人が2010年度、全国で1792人にのぼることが明らかになったこと である。(3月5日付しんぶん赤旗)このように今回の保険料引き上げは、滞納者の増加、正規保険証の取り上げの増加(短期保険証等の交付増)、財産の差し 押さえの増加などを加速させるだけである。こうした事態は、国民健康保険でも広く指摘されている内容であり、「お金の切れ目が、いのちの切れ目」になりか ねない重大事態である。
そもそも民主党は、「後期高齢者医療制度は国民を年齢で差別し、高齢化率が上昇するほど75歳以上の保険料負担が増える仕組み」だとして、「政権政策マ ニフェスト2009」の中で現行後期高齢者医療制度の廃止を公約して、2009年秋政権交代を果たした。しかし、野田内閣はそれを反故にして、制度の温存 と更なる改悪を「社会保障と税の一体改革」の関連法案として位置づけ、その実現を狙っている。
全日本民医連は、高齢者を年齢で差別し、耐え難い負担を強要する後期高齢者医療制度を継続・温存させるのではなく、即時廃止し以前の老人保健制度に戻 し、高齢者が安心してかかれる高齢者医療制度の創設を求めるものである。