【声明2011.04.05】 薬害イレッサ訴訟東京地裁判決について アストラゼネカ社と国は東京地裁判決を重く受け止め直ちに全面解決のための協議の場につくことを望みます。
2011年4月5日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤 末 衛
まず、東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。わたしたち全日本民主医療機関連合会(民医連)は、被災者のいのちと健康を守るために、多くの医療団体などとも協力し全力で支援活動を繰り広げています。
さて、3月23日東京地方裁判所において薬害イレッサ東日本訴訟の判決が下されました。
判決は大阪地裁判決と同様にアストラゼネカ社に致死的な間質性肺炎の副作用を添付文書「警告」欄に記載する指示、警告上の欠陥があったとして、製造物責任法上の責任を認めるものでした。
さらに、国の安全性確保のために必要な記載をさせる行政指導上の権限を行使しなかった国家賠償責任をも認めました。
民医連は、がん患者のいのちと人権を守るための抗がん剤治療がより発展するためにも、抗が ん剤の安全性情報が適切に医師、薬剤師、医療従事者のもとに伝えられることがなにより重要だと考えています。今回の東京地裁判決は医薬品の安全性情報を伝 える製薬企業の責任、それを行政指導する国・厚生労働省の責任を明確に指摘しており大きな意義のある判決と考えます。
国は先の1月28日付「イレッサ訴訟和解勧告に関する考え方」において、「判決で問題点を 指摘していただき、これを整理し・検討して丁寧に制度のあり方を模索したい」としています。改めて国は判決での指摘をしっかり受け止め責任を認めること が、薬害イレッサ事件が発生した原因究明と薬害の再発防止策、抗がん剤副作用死救済制度の創設にその教訓が生かされることになります。ひいてはがん患者の いのちと人権をまもり、がん治療の発展につながるものと確信をしています。
わたしたちは、被告アストラゼネカ社は控訴を取り下げ、国は控訴をすることなく、この判決を重く受け止め、薬害イレッサの被害者、家族に謝罪するとともに直ちに原告・弁護団が求める全面解決のための協議入ることを強く要望するものです。
- 記事関連ワード
- 副作用