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声明・見解

声明・見解

【2011.03.22】 東日本大震災における被災者の医療費一部負担金免除についての全日本民医連要請書

2011年3月22日

内閣総理大臣菅   直人 様
厚生労働大臣細川 律夫 様

全日本民主医療機関連合会会長 藤末衛
東日本大震災における被災者の医療費
一部負担金免除についての要請書
一被災者をふるいわけせず、全被災者の命を救うこと一

 
 厚生労働省保険局医療課は3月15日、「東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震による被災者に係る一部負担金等の取扱いについて」とする都道府県等に対する事務連絡文書を通知しました。しかし、通知内容は巨大災害の実情にそぐわない極めて不十分な内容です。
 「通知」の趣旨は、被災者の医療費一部負担金等について「猶予」するというものですが、その条件として①住家の全半壊、全焼又はこれに準ずる被災をした旨、②主たる生計維持者が死亡し又は重篤な傷病を負った旨、のいずれかの申し立てをした者であること、としています。
 しかし、巨大災害においては、そうした分類まったく意味がありません。津波に襲われた家がどうなっているか、一体誰が確認できるでしょうか。今も安否不 明者が12000人を数え、家族が離れ離れになっているのに、「主たる生計維持者」がどうなっているのか、幼子に一体誰が教えてくれるというのでしょう か。仮に全半壊や主たる生計者の生存や重症傷病でなくとも、生活の見通しもまったく立っていないことを考えるならば、この通知はこの期に及んでも被災者の 苦しみや現状をまったく理解していない、現場を知らないものとしか考えられません。あの1995年1月17日の阪神淡路大震災の折も、厚生省(当時)が最 初に出した1月20日付け通知は、今回とまったく同じ内容でした。しかし、このような振るいわけは現場ではまったく意味がなく、医療現場は一部負担金なし での医療が行われました。そして、その一ヵ月半後の3月3日、同省は「免除対象者」の要件として、「社保」「国保」「老人」別に整理し、「社保」では「市 町村民税が非課税である場合」を追加、「国保」の場合は、「世帯主又は組合員が業務を廃止又は休止した者」「失職し、現在収入が無い者」「その他上記の各 号に準ずる者」とされ、「老人」ではさらに「一部負担金を支払うことが困難になるおそれがあると認められる特別な事情がある者」が追加されました。こうし て一部負担金免除が追認され、多くの被災者が医療を受けられたのです。国には国保法にもとづく第44条もあります。
 今回の厚労省通知は、阪神淡路大震災の教訓を生かすことなく、再び、被災者をふるいわけしようとするものです。
すべての被災者が、必要な医療を受けられるように、政府・厚労省は、被災者に対し、無条件で、災害救助法を適用して医療費の一部負担金免除を直ちに実施してください。今次「通知」を速やかに撤回・改善されることを強く要請するものです。

以上