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声明・見解

声明・見解

【全日本民医連医師部長声明2011.02.02】医道審議会医師分科会医師臨床研修部会の「意見取りまとめ」(平成24年度以降の臨床研修における対応について)について

2011年2月2日
全日本民主医療機関連合会
医師部長 増田 剛

 本年1月12日、医道審議会医師分科会医師臨床研修部会は、「平成24年度以降の臨床研修における対応について」という意見取りまとめをおこなった。

 その中で、「病院の募集定員」と「都道府県別の募集定員の上限」については、現行の「激変緩和措置」を26年度の臨床研修まで継続することを決定した。このことは、この間の地域医療への配慮を望む声に応えるという意味で、民医連としても賛成できる内容である。

 しかし、今回の「取りまとめ」は以下の点できわめて重大な問題を孕んでいる。

 第一は、制度見直しの中身の検討はこれからであるのにもかかわらず、募集定員に関わる激変 緩和措置を、2年延長の後「廃止する」と断じていることである。このことは、国として「医師増員」の方向に舵を切り、今後は増員された医師の研修を具体化 する局面であるにも拘わらず、募集定員を抑制基調に固定化するという、情勢に逆行する施策とも読み取れる内容で到底承服できるものではない。

 第二は、この間「年間新規入院3,000人未満の病院を基幹型から外すな」との強い要望が 数多く厚労省に寄せられているにもかかわらず、基幹型臨床研修病院の指定条件の「激変緩和措置」延長について一切触れられていないことである。地域医療の 崩壊状況を見れば、研修の出来る病院を規模のみで狭めることは決して許されることではなく、指定用件は、あくまでも到達目標に照らした研修内容・質でこそ 評価されるべきである。さらに言えば「研修の質」を議論するとき、現在進行中の桐野班による中小病院実地調査に加えて、大学病院・大病院における「研修の 質」評価も併せて行われることが本来求められるべき措置であると考える。

 現在の新医師臨床研修制度は、医師としての人格の涵養とプライマリ・ケアへの理解と全人的 に患者を診ることができる基本的な診療能力の獲得を目標に導入された。現在、次回の見直しについての意見が各方面から出されつつあるが、「そもそも何のた めの臨床研修制度なのか」という制度の存在意義に関する議論を曖昧にしない姿勢が重要である。制度開始の際に確認した目標に対して、現在の臨床研修制度の 到達はどうなのかという評価をした上で次回の見直しを検討すべきであり、到達目標の変更が必要であるなら、その理由を根拠をもって議論すべきである。冷静 な議論を呼びかける。

以上

(PDF版)

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