【2010.07.27】原爆症認定集団訴訟・長崎地裁の判決について
2010年7月27日
全日本民医連被ばく問題委員会
長崎地裁は、7月20日、県内の被爆者14名が処分の取り消しなどを求めた第2次集団訴訟 で、新基準で既に認定された8名を除く6名のうち、2名について国の決定を取り消し、残る4名に対しては原告の訴えを棄却する判決を言い渡した。本件訴訟 は、2003年4月以来、全国17裁判所で全国の被爆者306名が、共同して闘ってきた裁判の一つである。
今回の長崎地裁判決で、「新しい審査の方針」において積極的認定の対象疾病とはされていない変形性脊椎症について被爆との因果関係を認めた点は、同様の筋骨格系疾患に苦しむ被爆者が多いことを考えると大きな前進である。
しかし被爆との関連においてすでに広島高裁判決で勝訴が確定しているケロイドについて、飯島宗一や勝部玄らによる血のにじむような努力によって解明された 原爆ケロイドの特徴に関する医学的知見を根拠なく否定したことは、はなはだ遺憾であり、医師団として全く納得できない判決である。
判決骨子の一部には、「旧審査の方針における初期放射線量・残留放射線量についは、過小評価されている可能性があり、内部被曝の影響が考慮されていな い」とか、「当該申請者の被爆状況や被爆後の行動、生活状況などを総合的に考慮した上で判断を行うことが相当である」との内容もあるが、被爆距離や入市の 時期などについての過去の記録との不一致を判断材料として被爆実態を過小評価している点、また急性症状の証明や評価の在り方については、今後に問題を残し た判決と考える
全日本被ばく問題委員会は、原爆被爆者が高齢化してきていることを踏まえ、被爆者医療の更なる充実、健康被害への全面的な救済のために、一層努力していくとともに、引き続き全国の被爆者とともに原爆症認定行政の抜本的な改善のために奮闘する決意である。
以上
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