【2010.06.02】-「核兵器のない世界」へ向け歴史を前進させた- 2010年NPT再検討会議の最終文書について
2010年6月2日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛
今回のNPT(核拡散防止条約)再検討会議は、世界の「核兵器のない世界」を求めるうねりの中で大きな成果を勝ちとった。核を持つ少数の国が世界 の安全を支配する時代は完全に終焉したことを示した。この前進は、世界の核兵器廃絶を求める草の根の運動によってつくり出したものである。とりわけ全国各 地からニューヨーク届けられた690万筆の「核兵器のない世界を」署名と、被爆者含めて日本から参加した1600人余の代表団のニューヨークでの行動がこ の前進に大きく貢献した。NPT再検討会議議長は、「あなたたちの草の根の運動が人類の希望である核兵器撤廃に希望を与えつづけている」と述べた。
5月3日より国連本部で開催されていたNPT再検討会議は28日、核軍縮・核不拡散のための64の行動計画を明記した最終文書を全会一致で採択して閉幕 した。具体的な措置を盛り込んだ最終文書の採択は10年ぶりのことであり、NPT体制強化に向け国際社会の政治的な合意が10年ぶりに達成された。
最終文書は、2000年のNPT再検討会議で確認された「核兵器の完全廃絶を実現するという核兵器国の明確な約束を再確認する」と明記し、核保有国によ る「逆戻りせず、検証可能かつ透明な」方法で核軍縮をすすめる決意を表明した。また、非核の中東地域をつくる決意を示した。
最終文書は、「すべての国が、核兵器のない世界を達成し維持するための特別な取り組みを行う必要について確認する」と明記し、核保有国に対し、すべての 種類の核兵器の削減や、軍事戦略上における核兵器の役割の低減、核戦力の透明性確保などに取り組み、2014年の再検討会議準備会合で報告するよう求め た。さらに2015年の再検討会議で実績を評価するとともに、次のステップを検討することを明記した。
また核軍縮では、当初、第1委員会の報告草案として「核兵器の完全廃絶のための行程表(ロードマップ)を検討するために国際交渉を開始する」との提起が されたが、核保有国の抵抗で最終文書には盛り込まれなかったものの、圧倒的多数の国々の支持を得た。それは最終文書の中で「本会議は、核軍備・撤廃プロセ スの最終段階およびその他の関連措置は、合意された法的枠組みの中で追求されるべきであることを確認する。加盟国の大半は、こうした法的枠組みは具体的な 日程を含むべきであると考える」と明記されたことよって裏打ちされた。
以上、最終文書で確認された内容は、「核兵器のない世界」へ向けた歴史的に貴重な前進である。私たち全日本民医連は、日本と世界の反核平和運動をすすめる 人びとと連帯し、ひきつづき核兵器廃絶をめざして奮闘する決意である。
以上
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