【2010.06.01】「泉南アスベスト国家賠償請求訴訟」の原告勝訴判決に対する国の不当控訴に強く抗議し、早期解決にむけて全ての被害者の完全救済を求める
2010年6月1日
全日本民医連会長 藤末 衛
国は被害者の声を一度も聞くことなく、「泉南アスベスト国賠訴訟」の大阪地裁の原告勝訴判 決(5/19)に対し控訴した。厚生労働省・環境省は控訴を断念する方向で調整に入っていたにもかかわらず、最終的には「被害者の方々には大変お気の毒で 早期解決が望まれるが、初めての訴訟で法律的な論点がまだまだある」と言い訳に終始し、司法判断を 踏みにじり、原告被害者の期待を裏切る不当な控訴を決定した。
原告の方々は苦しみに耐え、まったなしの療養生活を送っています。
「失望した。世論を無視した極めて不当な控訴だ。政権交代しても政治は変わっていない」「判決でやっと光が当たったと思ったのに。私たちの生きる道を閉ざさないでほしい」
「酸素吸入器を手放せない生活であと何日生きられるか。私たちの苦しみを知ってほしい」
「一時期、国は控訴しない方向と言っていたのに。何を信じればいいのか」
国のこの現実をみない控訴に対して、裏切られた原告被害者の怒りは計り知れません。
5月19日の原告勝訴判決は、労働者のアスベスト健康被害において初めて国の責任を認めた画期的判決であり、泉南アスベスト被害の早期全面解決はもとより、全国でたたかわれているアスベスト訴訟はじめ、すべてのアスベスト被害救済に大きく道を開く歴史的な判決でした。
同時に、今回の地裁判決は、環境ばく露による地域住民の深刻な健康被害について国の責任が 認められていないこと、使用者(事業者)が石綿粉じんばく露により健康被害を被った場合の国家賠償請求が見送られたこと等問題点も含んでおり、被害者の完 全救済にむけてのたたかいは、よりいっそう大きなものにしていかなければなりません。
全日本民医連は、国民の命と健康を守る責務を放棄した国の不当控訴に強く抗議します。国は 自らの責任を認め、原告団・被害者に対し控訴をとりやめ直ちに謝罪と補償を行うこと、そして環境ばく露による深刻な健康被害の救済を含む、被害者全員の完 全救済に速やかに応じることを求めます。全日本民医連は被害者のいのちをかけたたたかい連体し、早期解決にむけ、運動を強めていく決意です。
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