【2010.04.02】原爆症認定集団訴訟・高松地裁の判決について
2010年4月2日
全日本民医連被ばく問題委員会
3月29日、高松地裁は、原爆投下後、長崎に入市した被爆者の肝がんを原爆症と認める判決を言い渡した。
争点となった入市日に関しては、原爆症認定書に添付された申立書に記載された8月14日よりも以前である8月12日であったと認めるのが相当であるとし た。被爆時の状況や原告の被爆体験を丁寧に聞き取り、事実に基づいて分析した上での判断であり、評価できるものである。
また審査の方針の依拠するDS86及びDS02の線量評価システムに関しては、「遠距離被爆者や入市被爆者の健康影響に関しては、誘導放射線量は人体に 影響を及ぼす程のもではないとされているが、実際には、発熱、紫斑、脱毛、おう吐、下痢等の急性症状を数多く存在することから、残留放射線、内部被曝及び 低線量被曝の影響を過小評価していると考えられる。」とし、放射線起因性の判断基準にすることに相当しないとあらためて指摘している。
そして、入市被爆者について放射性起因性を判断するに当たっては、「申請者の被爆前の生活状況・健康状態、被爆後の行動経過・活動内容・生活環境、被爆 後発症した急性症状の有無・内容・程度、被爆後の生活状況・健康状態、申請疾病の発症経過・当該疾病の病態・内容、申請疾病以外に申請者に発生した疾病の 有無・内容・病態等を総合的に考慮」して、判断することが相当であるという考え方を示した。
いずれも全日本民医連医師団の考え方を受け入れたものであり、評価できるものである。厚労省は控訴せず、被爆者の願いに応えて、審査のあり方を抜本的に見直すべきである。
全日本民医連支援医師団と被ばく問題委員会は、今後も原爆被爆者の健康被害への全面的な救済のために力を尽くし、引き続き全国の被爆者とともに原爆症認 定行政の抜本的な改善、被爆者医療の充実のために奮闘する決意である。
以上
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