【2009.12.18】「原爆症認定集団訴訟の原告に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律」(基金法)成立について
2009年12月18日
原爆症認定集団訴訟支援全日本民医連医師団
全日本民医連被ばく問題委員会
本年8月6日に日本原水爆被害者団体協議会と麻生首相・自民党総裁(当時)との間で締結された「原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書」に基づき、12月1日に事実上の全党一致で「基金法」が成立した。
この法律は、敗訴した原告を含む認定訴訟のすべての原告の「問題の解決のため」に充てる基金の発足を保証したものである。この法律が成立した原動力は、 長期にわたる原爆被爆者の国家補償を求める運動と、松谷、小西、東訴訟に続く集団訴訟での闘いの成果であることは論をまたない。
この法律の下で発足する基金は、集団訴訟の原告が被った被爆後の様々な健康被害、生活上の苦労の一部を補うものとして、「原子爆弾被爆者に対する援護に 関する法律」の枠外であるものの、政府予算から基金への補助が実現したことは大きな意義をもつものである。
しかしながら、この基金はあくまで現集団訴訟の終結を計ることを基本にしていることから、現訴訟の原告に限っての救済を確認したものであり、訴訟には加 わっていないが認定審査結果を待っている8000人を超える被爆者は含まれていない。
基金法の附則により、政府は、原爆症認定制度の在り方について新たに検討し、必要な措置を講ずるものとされた。法廷の内外で集団訴訟を支援してきた医師 団として、この検討のすすめ方とその結論に強い関心を払うものである。とくに、判決によって重大な欠陥があると指摘されたDS02(被爆線量評価方式)に 依る閾(しきい)値を前提とした「放射線起因性」という条件を外すことや、審査結果理由の開示がいかに保障されるかなどが焦眉の課題である。
言うまでもなく、すべての被爆者の病苦に対する完全なる国家補償が実現することが被爆者の願いである。このことが実現しない限り、わが国が核廃絶をめざす国家であるということはできない。
基金法附則に基づく現行制度の見直し作業が終了するまで、未判決、あるいは控訴中の原告の認定訴訟が継続する限り、全日本民医連医師団は支援活動を継続 していく所存である。一刻も早い全面解決をめざして、さらに一日も早く核兵器のない世界を実現するために、被爆者とともに奮闘することをここに決意する。
- 記事関連ワード