【2009.12.04】原爆症認定集団訴訟・熊本訴訟福岡高裁判決についての談話
2009年12月4日
全日本民医連被ばく問題委員会委員長 聞間 元
11月30日、福岡高裁は、「新しい審査の方針」で除外されている疾患での申請却下の取り消しを求めていた原告2名のうち1名のC型肝硬変については、放射線起因性ならびに要医療性を肯定できるとして、厚生労働大臣の却下処分を取り消し、逆転認定する判決を言い渡した。
もう1名の右下腿熱傷瘢痕による右足関節伸展制限、歩行障害については、放射線起因性が認められないとして申請を却下した。
その他の原告19名については、新基準での認定ないし国の控訴取り下げにより、既に認定が確定している。
B型ないしC型肝硬変については、国の控訴取り下げにより、札幌、広島、長崎各地裁での認定判決が既に確定しており、この流れに沿ったもので正当な判決 と考えられ、争点であった被爆要件についても原告の主張を認めた。厚生労働省は、今年6月から肝機能障害を積極認定対象としているが、肝硬変も含め、「放 射線被曝の影響がある」という留保条件を取り消して無条件に積極認定対象とすべきである。
右下腿熱傷瘢痕による右足関節伸展制限、歩行障害については、原爆による熱線と放射線の双方の影響により形成されたケロイドの後遺症であり、放射線起因 性は明らかであると考えられるが、単なる熱線による瘢痕拘縮とした原判決を踏襲した。同様の熱傷瘢痕拘縮について、大阪、広島の3件が既に国の控訴取り下 げなどで認定されていることからも、今回原告の主張が認められなかったことは、これまでの司法判断に逆行するものと言わざるを得ない。
原告勝訴判決について国は控訴せず、司法判断に沿って新基準を抜本的に見直すべきである。全日本民医連支援医師団と被ばく問題委員会は、引き続き全国の 被爆者とともに各地の認定訴訟の原告の全員救済や原爆症認定行政の抜本的な改善、被爆者医療の充実のために奮闘する決意である。
以上
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