【声明2009.11.16】後期高齢者医療制度即時廃止の会長声明
2009年11月16日
高齢者の人権を無視した後期高齢者医療制度は、今すぐ廃止して下さい。廃止後は、もとの老人保健制度に戻し、高齢者の「いのちとくらし」を守る医療制度に改善することを要望します。
全日本民主医療機関連合会
会長 鈴木 篤
2008年4月に施行された後期高齢者医療制度は、高齢者を差別し、独立した医療制度に抱 え込み、多大な負担を強いる世界に例がない「悪法」です。この悪法は、施行と同時に当事者である高齢者をはじめ医療関係者、多くの国民の「怒り」を呼び、 一気に「廃止」求める運動が広がりました。2008年6月には参議院で野党4党共同提案(当時)の「廃止法案」採択されました。
8月30日に実施された総選挙でも大きな争点となり、「廃止」を選挙公約に掲げた民主党を中心とする連立政権が成立しました。
しかし、新政権は、「制度を廃止し、もとの制度の戻すのに2年かかる」など理由に、廃止の「先送り」の動きを強めています。
新政権が表明している「医療制度の一元化」構想は、医療制度全般に係わる国民的な討議が必要な重大問題で、国民的合意とはなっていません。悪法は、ただ ちに廃止し、一旦もとの老人保健制度に戻し、その後高齢者が望む新しい医療制度に改善していくことこそが最も現実的な解決の方向です。
そもそも、後期高齢者医療制度は、「医療費の適正化を推進するための計画の作成」(高齢者の医療の確保に関する法律 第1条)を促し、医療費抑制が最大 の目的になっている制度です。したがって、後期高齢者医療制度の財源である保険料・支援金・公費負担のすべてが医療給付費の増加に対して、抑制的に機能す る仕組みがつくられています。
一方、元の制度であった老人保健制度は、その目的に「国民の老後における健康の保持(中略)もって国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ること」(老人 保健法 第1条)をうたっており、後期高齢者医療制度とは全く異なる内容です。
悪法の継続・先送りは、高齢者に新たな負担増と制裁措置としての「保険証の取り上げ」件数の増加をもたらします。また、それら「実害」を軽減するためには、国庫負担金の増額も必要となります。
全日本民医連は、鳩山新政権が、高齢者の人権を無視した後期高齢者医療制度の即時廃止を決断し、一旦もとの老人保健制度に戻すことを求めます。その際、 国庫負担金を増額し、後期高齢者の医療費の窓口負担無料化や国民健康保険への支援策など「幸期」高齢者といわれるような高齢者にやさしい制度の拡充を強く 要望します。
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