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声明・見解

声明・見解

【声明2009.08.04】原爆症認定集団訴訟熊本地裁2陣判決についての談話

2009年8月4日
            全日本民医連被ばく問題委員会委員長 聞間元

 8月3日、熊本地裁は、原爆症認定集団訴訟(熊本2陣)において、13人の原告のうち未認定の10人について、認定却下の取り消しを命ずる全員勝訴の判決を下した。
 2006年の大阪地裁の判決から続く19回目の勝訴となったが、これまでの判決と同様に、厚生労働省・認定審査会がこの間行ってきた原爆症認定行政を明確に断罪する判決となった。
 今回の判決の特徴としては、骨粗鬆症、変形性脊椎症、頸椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、肺気腫、2型糖尿病など、これまで認定審査会によって却下され てきた非がん疾患が多数含まれていることが挙げられる。微小脳梗塞、脳動脈瘤についても、放射線起因性を認める知見がある高血圧の関与などを総合的に考慮 して認定した。
 争点となった放射線起因性については、被爆状況や急性症状、その後の生活や病歴などを総合的に考慮した上で、合理的な通常人の立場において、当該疾患は 放射線に起因するものであると判断し得る程度の心証に達した場合には、放射線起因性を認める高度の蓋然性があると判示している。
 また、喫煙歴のある肺がんについて、喫煙と放射線の影響は相加的なものであり、放射線の影響を否定するものではないとして放射線起因性を明確に認めたことも特筆されよう。
 以上、全体として原告の主張を認めた判決であり、2度にわたり改定された新しい審査の方針でも認定されない多くの非がん疾患について認定したことは、現行の認定基準の更なる改定を迫るものである。
 64回目の原爆の日を目前にして、裁判史上他に例を見ない19連敗となった国、厚労省は、今回の敗訴を謙虚に受け止め、控訴をせず、被爆者の願いに応えて一日も早い全面解決を図るべきである。
 全日本民医連医師団と被ばく問題委員会は、核兵器のない世界を実現する運動の一翼を担いながら、引き続き被爆者の健康管理、医療と介護の充実のために奮闘する決意である。

以上

(PDF版)